昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

日頃の思いや鬱憤を吐露!無礼千万なコメントは削除。

感謝の順番

仕事を終わるにあたって、約一か月半に亘って、様々な顧客に挨拶に赴いた。
付合いが長いので、共通の話題が多く、話が弾む。
最後は型通りに「今後とも、後輩連中を宜しく」と頼んでお開きになるのだが、顧客へのお礼は定番の表現ではない。

「42年間に亘って仕事をしてきましたが、今度リタイアです。
あなた達と一緒の仕事は、楽しい思い出ばかりです。
この間お世話になり、大変ありがとうございました。
ただ、いよいよ最後の時になって、誰よりも42年間働くことが出来た体に産んでくれた両親に感謝しなければと思い至りました。
続いて、40年間に亘って支えてくれた妻と、家族に感謝しています。
実はあなた方はその次、顧客と仕事仲間は三番目なんです。」
取り方によっては失礼に聞こえるかもしれないが、顧客も同僚も、僕の性格を分かっているからか、「そうだよな」と納得してくれる。

先ずは、両親がいなければ、僕は生を受けていない。
両親の教育がなければ、全く違った性格に育っただろう。
今の僕の基盤は、両親によって作られた。
妻のサポートも大きい。
ズボラで飽きっぽい僕に対しては不満も多かっただろうが、毎日一緒に早朝に起き出し、食事を作り、亭主を仕事に送り出す。
そんな辛く単調な生活を、嫌な顔一つせずにこなしてくれた。
出来の悪い子供の子育ては、ほとんどが彼女の担当だった。
顧客や仕事仲間と良い人間関係を作れたのは、会社の仕事に専念できたからであり、それは取りも直さず彼女のお蔭だ。

感謝の気持ちなんて、別に順番をつける必要はないのかもしれない。
しかし僕の人生で最大の変化点を迎えると、妙に原則に拘りたくなる。
だから顧客や同僚に対しても、敢えて「両親と家族のお蔭で」と断る事で、僕の感謝の思いを表し続けた。