昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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日本語の敬語

日本語の敬語って、外国人には悩みの種らしい。

その昔、中国出張の度にアテンドしてくれる、通訳役の朝鮮族の美人小姐がいた。
なかなかチャーミングでグラマラスな小姐だったので、日本人は全員が鼻の下を長くして、メロメロ状態だった。
彼女の日本語は、申し分のないほどのレベルだったが、唯一首をかしげるのが敬語の使い方。
例えば稀にだが、「おメールを頂きまして」みたいな表現がある。
内容は分かるし、別嬪さんの話し方がたどたどしいのは、寧ろ可愛ささえ感じてしまう。
そんなところも、彼女の人気の秘訣だった。

彼女とは2004年、中国の廣州で初めて一緒に仕事をした。
続いて翌年、今度は天津市の工場用地視察を手助けしてもらった。
この夜、中国に進出した日本企業の担当者を接待した後、宿泊のホテルに帰る途中、ほろ酔い機嫌の彼女が話しかけてきた一言が忘れられない。
彼女は僕の目をじっと見つめながら、「私たち二人が、初めてアイしたのは、ちょうど一年前です」と切り出した。

ムムッ!
一年前に、こんな見目麗しき小姐をアイした事ってあったっけ?????
必死に思い出そうとするが、どうにも身に覚えがない。
オチは、彼女の敬語が間違っていただけで、実は「お会いしたのは」の「お」が抜けていたモノ。
何とも色っぽい言い間違いだが、それだけで儲かった気分になったものだ。

事ほど左様に日本語の敬語は難しく、我々日本人でも間違って使っているケースが多い。
実は、世界最高峰の男子ゴルフUS-PGAツアーで、日本人として四人目の勝者となった、松山英樹も、その一人。
彼はゴルフは上手いが、きっと学校の成績は悪かったに違いない。
そう思う根拠は、彼が実に初歩的な常識、敬語の使い方を間違っている場面を見てしまったからだ。

レイオフアメリカツアー初勝利を挙げた松山英樹は、一躍アメリカの著名人。
グリーン上の勝利インタビューだけでなく、プレス相手の記者会見が用意されていた。
この場面はケーブルテレビでだけの放送だったようで、ほとんどの人はそんな事があった事を知らない。
横には、通訳とホスト役のジャック・ニクラスが座り、ニクラスはアメリカ人特有のジョークを飛ばしながらインタビューを盛り上げる。
一方主役の松山英樹は、日本人特有の、決して燥がず、むしろ喜びを押し殺したような表情で質問に答えていた。
ところが「高校までは誰のコーチを受けていたのか?」との質問に、彼は「お父さん」と答えた。

オイオイ、松山君。
君は最高学府、東北福祉大学に学ぶ「優秀な」学生で、且つ国際舞台に活躍の場を求めた、列記としたジェントルマンですぞ。
自分の家族に敬語を使うのは、小学校の低学年まで。
日本を代表するプロスポーツ選手が、22歳にもなって「お父さん」はないでしょう。
このままでは、三十歳を過ぎても「天国のお父さん」を乱発する、妙なカワイ子ぶりっ子、吉田沙保里と同じ穴のムジナになってしまいますゾ。
まぁ「パパ」と言うよりもマシだったが、やはり大の大人なら、「父から」と簡潔に答えるべき。
流石に通訳は「father.」と訳し、「daddy」は使わなかった。

しかしいくら日本語の敬語が難しくても、この程度は初心者レベル。
大器、松山英樹には、今後ともアメリカツアーでの大活躍を期待するし、何回も優勝してほしい。
その度にインタビューを受ける事も増えるだろうから、ゴルフの腕前だけでなく、細やかながらも言葉遣いの勉強もして欲しいものだ。