昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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ミュンヘン バイエルン州立劇場

雨のミュンヘンに到着した翌日も、朝から雨が降り続いている。
しかも、気温は11℃。
初冬を思わせる気候に、山登り用にと持参したダウンジャケットを持ち出す。
30℃に近かったイタリアとは、エライ違いだ。

ホテルの傘を借りて、先ずはミュンヘン市内お徳用乗り物チケットを買いに行く。
前日、ミュンヘン中央駅で地下鉄のチケットを買おうとした時、如何にも田舎者が梃子摺っているように見えたのだろう。
隣の自販機から、見目麗しいドイツ美人が声をかけてきた。
親切に切符の買い方を教えてくれたのは良いが、「ミュンヘンには便利なチケットがあるが、現地の自分でも買い方が分からない」と、何とも中途半端なアドバイスで終わってしまった。
やむを得ず、チケット担当の妻がインターネットを駆使して調べたところ、「ミュンヘンウェルカムチケット」が一番の狙い目と言う。
これを購入すると、三日間、市内の大半の範囲で、地下鉄、バス、トラムが乗り放題になり、且つ市内の一部観光施設の入場料がディスカウントされるらしい。

早速探しに出かけたが、なかなか売り場が見つからない。
何箇所かで尋ね歩いていたら、ミュンヘン市インフォーメーションセンターで売っていた。
料金は、二人分30.9ユーロ。
早速これを利用して、メッセ・ミュンヘン美術館へ。
ここはアルト(Old)とノイエ(New)が並んでいるので、最初はアルトへ。
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入場料が一人4ユーロと安い。
ところがその理由が、2017年まで改装工事中で、半分近い絵画を見ることができないためと分かった。
それでも展示品の数は多い。
妻の方は、雨も降っているし歩き疲れたので、ノイエはパスしようかと言い出した。
いつもとは逆の立場で、僕の方が「せっかくここまで来たのだから」と主張し、それではチャチャッと見ることになった。
ところが、このノイエの方は、モネ、ドガゴーギャンセザンヌロートレックの名品が大量に展示されていた。
中でもゴッホの、有名な「ひまわり」は一番人気で、人垣が出来て、我も我もと記念写真を撮っていた。
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こちらもあまりの展示品の数に、すっかり時間を食ってしまい、次の予定はキャンセルしてホテルに帰還。

夕方6時からは、バイエルン州立劇場でオペラ鑑賞。
今回の旅で、実に三回目のオペラだ。

今回の演目は、「ウィリアム・テル」。
悪代官の罠に嵌り、ウィリアム・テルは息子の頭上のリンゴを矢で撃つ羽目に落ちる。
が、これを見事に射抜き、これを切っ掛けに民衆が蜂起し、悪代官を倒すと言う、勧善懲悪の分かりやすい物語だ。
テレビドラマ「ローンレンジャー」で使われた「チャカチャン、チャカチャン、チャカチャンチャカチャンチャカ、チャンチャンチャン」のメロディーはあまりにも有名。
ここまでストーリーを知っている演目も珍しいので、自信満々で乗り込んだ。

ところが、最近のオペラの流行らしいが、演出家が時代背景を現代に置き換え、勝手な解釈を加え、歌詞以外は原作と全く違うイメージになってしまっている。
更に、頼みの字幕が、ドイツ語だけ。
すっかり途方に暮れてしまった

実はこれでも、大学時代に選考した第二外国語はドイツ語。
しかし全くモノにならず、早々にドイツ語の勉強から脱落。
辛くも単位が取れて卒業は出来たが、その後数年に亘って、「ドイツ語を勉強しないといけない」との強迫観念の悪夢にうなされるほど、最も折り合いが悪い言語なのだ。

案の定、劇はどんどん進むが、内容は全く分からない。
途中休憩までの2時間15分間は、ただひたすら、微かに記憶に残っているわずか数個のドイツ語単語から、劇の内容を推測するだけで終始した。
それでも後半になると、劇のクライマックスは知っているし、必死に一途に感性を研ぎ澄ましているので、だんだんドイツ語も分かり始める。
その結果、眠くなることも無く、3時間半近いオペラをしっかり鑑賞することができた。
果たしてこれで、「オペラを見た」と言えるのかは微妙だが、本人には大いに充実したゲージュツ鑑賞だった。