昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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朋あり遠方より来る

心の友と呼べるような親友が遠くから訪ねてきてくれるのは、たいへん嬉しく楽しいものです。
特に同好の志を持つ者が集まってくることは人生を豊かにします。

現役時代、度々訪問し親交を結んでいた、マレーシア人から連絡があった。
「久し振りに日本に行くので、食事をしよう」
今や隠居世捨て人のような、刺激の少ない生活が続いていただけに、「僕で良いのか?」と聞き返したほど吃驚した。
既に仕事上の付き合いが無くなって、七か月が経過している。
ましてや外国人から、まさか食事の誘いがあるとは思っていなかった。
最初は大いに驚いたが、それよりも嬉しさの方が上回った。

7日午後6時、待ち合わせ場所で遇うと、早々に「昨日は台風18号の影響で大変だったが、今日は快晴、君との会食に影響がなく良かった」と、心をくすぐるようなセリフを吐く。
前日は機内待機で、日本入国が6時間以上遅れたらしい。
早速食事をしながら最近の情報交換。
彼らの関心は、リタイア後の僕の生活振りで、「朝5時起床、2時間ウォーキング、風呂、朝食、オペラ鑑賞、読書、夜9時には就寝を繰り返している」と説明したら、「コンサルタントはやらないのか?」と質問された。
「Of course, not.」
「Why?」
みたいな話で盛り上がった。
彼らは勃興するアジアンマーケットを背景に、年末から来年にかけて大投資を敢行すると鼻息が荒い。
円安で青息吐息の日本企業に比べると、明らかに前向きだし、迫力を感じる。

更に、「君は、リタイア後はマレーシアに住みたいと言っていたが、どうなの?」とも聞かれた。
「妻の母(義母)が98歳なので、当分は無理だが、マレーシア移住を諦めた訳ではない」と言うと、「なら、夫婦で遊びにこい。いつでも、歓迎する」と、誘ってくる。
「君とは仕事を離れてもトモダチ、Friend」などと言われると、「お世辞かも知れない」とは思いつつ、やはり嬉しい。
およそ三時間近い会食だったが、費用は全部彼ら持ち。
物価の安いマレーシア人にとって、日本での会食費はかなりの負担ではと心配だが、それでも心から寛ぎ、リフレッシュできた夜だった。

彼等とは、サプライヤとカストマーの関係だった。
しかし僕は常に「我々はパートナー、信頼できるサプライヤがあってこそ、初めて事業がスタートする」と、ギブ&テイク精神を忘れなかった。
シビアな価格交渉も、必ずこちらからの何らかのギブを持って、彼らの協力をお願いした。
往々にしてカストマーはサプライヤを下に見がちなので、この考え方は彼らの琴線に触れたようだ。

翌日からは、かなりハードスケジュールが組まれているのに、最早仕事上では役立たずの僕に声をかけてくれる。
これは、引退老人にとっては最高の名誉だ。