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奇跡!突発性難聴が完治

「聞こえるようになって良かったですね」と、医者は破顔一笑
元々、隠し事が苦手な御仁と見えて、患者の症状がそのまま彼の表情に現れる。
この医者は、最初の診断の時は、検査結果を見て余りのひどさに絶句していたが、それが完治した途端に、今度は全身で喜びを表す。
人柄の良さは伝わってくるが、患者としては分かり易過ぎて、却って不安になる。

「贅沢を言うな」と、怒られるに違いない。
結果として良くなったので、文句があるはずはない。
しかし今回の病気に関しては、それでも何となく納得できない。

左耳が全く聞こえなくなったのが、ちょうど二週間前。
泡を食って病院に駆け付けたところ、「発病から一週間経過していると、先ず聴力は戻らない」と断言された。
実際にこの時は、聴力検査を受けても全く聞こえなかった。

左耳の違和感は、その10日以上も前からあった。
イヤフォンを装着する時、何となく不快な接触感があったからだ。
しかし右耳が問題なく聞こえていた為、左の聴力が落ちている事にはまるで気が付かなかった
その為、医者の言通りだとすると、とっくに手遅れ状態になっていたはずだ。

だから本来なら患者を励ますはずの医者でさえ、全く自信なさそうに「ダメかもしれないが、取り敢えずやってみましょう」と言い出す始末で、ステロイド系劇薬を投与しても、お先真っ暗の状態だった。
医者の顔つきも深刻だし、薬の効果を確認する「二日後に聞こえなければ、私のところではお手上げ」と、どこまでも自信がない。
正直言って治療を開始した時点では、恐らくは左耳が聞こえなくなると覚悟していた。

二日後の早朝、自分でヘッドフォンを装着してチェックしてみても、左耳は捗々しくない。
だから、病院でも駄目だろうと、ほとんど期待していなかった。
しかし9時の検査の時には、初日に比べても、当日の早朝に比べても聴力が改善されていた。
ステロイド、恐るべし!
その後は、四日ごとの聴力検査とステロイド系の投薬を続け、昨日はその結果の最終チェック。
前回も、「ほとんど回復したが、念のためにもうワンクール治療を続けましょう。次回も同じレベルなら完全回復です」と言われるまでに聴力が戻っていた。
そして昨日は、将に「問題はなくなりました」と、目出度し、目出度しの巻。

しかし薬で治ったのなら、早期発見だったということになる。
医者に「発病から一週間は経っていなかったの?」と質問したら、「実は一週間以上は経過していたようですが、マァ治ったからいいじゃないですか」とニコニコしている。
よほど運が良かったのか、はたまた悪運が強いのか。

どうも、一週間が勝負と期限を区切っていたのは、聴力が戻らなかった時の、医者の責任逃れの布石のような気もする。
因みに、「また聞こえなくなるかもしれないから、その時は速やかに病院に来てください」と、ごく当たり前のアドバイスで今回の大騒ぎはピリオドとなった。

突発性難聴は、原因不明の難病だ。
自分が、そんなややこしい病気に罹るとは思っていなかっただけに、今後の再発に不安がないわけではない。
ステロイド系劇薬の、今後の副作用も心配しておかなければならない。
ただ正常に機能するのが当たり前と思っていた、五感の一つにでも支障が発生すると、何かと不自由な生活になる事を身をもって体験した。

注意したから大丈夫なわけではないが、それでも無理をしないように心掛けないといけない。
こうして段々と活動範囲が狭くなり、年寄の生活になっていくのだろうな。