ソフトバンクホークスが、一敗後、四連勝で日本シリーズを勝った。
ソフトバンクホークスと阪神タイガース。
最後は守備妨害で決着がつくと言う、全く締りのない試合だったので、負けた阪神ファンにとっては、納得がいかないだろう。
しかし僕にとっては、どっちが勝っても負けてもどうでもいい組合せなので、応援にまるで力が入らない。
敢えて言えば、ソフトバンクの総帥、孫正義が嫌いなので、阪神が勝った方が、少しは気分が晴れたかもしれない。
IT業界の旗手であり立志伝中の人物、孫正義については、すでに多くの書物で紹介されている。
僕は、週刊朝日で橋下徹の出自を暴いて大問題になった、佐野眞一が書いた「アンポン」を読んだ。
佐賀県の朝鮮人部落で赤貧洗うが如き生活を余儀なくされていた孫正義が、己の才覚だけで日本を代表する大企業、ソフトバンクを作り上げる成功物語で、孫正義とのインタビューまであるので、橋下徹の場合とは異なり、本人の承諾を得た上での出版だと思われる。
ネット社会では悪口三昧の孫正義だが、それを読む限り反感や反発を覚えるものではなかった。
そんな僕が彼を嫌いになったのは、ソフトバンクが太陽光発電事業に乗り出した時の所作振舞いにある。
孫正義を嫌う人の中に、「ヤツは政商だ」との評価がある。
政府の許認可を引き出し、事業を有利に進めていく手法に長けている。
東北地方を襲った地震被害に、100億円の資材を寄付したのも売名行為に過ぎない。
当初はエキセントリックな孫正義非難に半信半疑だったが、僕もその評価を確信するに至ったのが、孫正義が時の総理大臣、菅直人に送った一言だ。
自分の延命のために、突如として反原発を打ち出し、太陽光発電への助成金を決めた菅直人に対して、孫正義は「これから10年は総理大臣を続けて欲しい」とエールを送った。
何たる浅慮!
何たる身勝手!
当時の菅直人は、民主党の国会議員からも退任通告を受けていた程に、「百害あって一利なし」首相だった。
その菅直人は、前任の総理大臣、鳩山由紀夫を騙し、内閣不信任案を否決した後に居座った時の言い訳が「原発反対、再生可能エネルギーの特別法案成立」であり、最後っ屁のように太陽光発電への助成金、日本型FIT(フィードインタリフ)を決めてしまった。
しかし少しでも太陽光発電に関わった人なら、全員が、これが上手く行くはずのない政策である事も知っている。
何故なら、太陽光発電の先進国、ドイツもスペインも、コストの高い太陽光発電を持て余し、FIT制度をとっくにやめているからだ。
案の定、最近になって、日本でも電力会社が太陽光発電の電力買い取りを拒否、太陽光発電バブルが破綻してきた。
私利私欲で太陽光発電を進めようとした菅直人と、これまた私利私欲でそんな菅直人の延命を希望した孫正義。
どっちもどっちの醜悪コンビだ。
晴れて日本一のプロ野球球団となったソフトバンクホークスには、何の恨みもないが、そんな訳で、孫正義の率いるソフトバンクと、その関連企業を好きにはなれない。