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イスラム国、イスラム教とは

イスラム国は、拉致した日本人を処刑すると伝えてきた。
安倍晋三がカイロで「イスラム国への闘い」とコメントし、2億ドルの資金援助を申し出たタイミングを見計らっての通告と思われる。
慌てた安倍晋三は、「人道支援で、平和的援助」と言い換えているが、現在の国際社会で一旦発言した内容は、直ちに全世界に配信されるので、言い直しは聞かない。
一度吐いた唾は飲み込めないのだ。

イスラム国の実態は、ほとんど分かっていない。
ただ、外国人を拉致したり、異教徒や敵を残忍な方法で処刑したりしているので、日本では前近代的な狂信集団や蛮族のイメージが定着している。
しかしイスラム国は、イラクやシリアの国内に列記とした、しかもかなり広大な支配地区を持っている。
しかも行政手段も有していると言うから、考え方にもよるが、既に国家の体をなしている可能性がある。
実際に昨年イスラム国に拉致された日本人、報道カメラマン横田徹氏は、「イスラム国の行政管理に従っている限り、異教徒でも安全を保障されるし、平和だった」と証言していた。

またイスラム教の研究者は、イスラム国が目指しているのは、数百年前のイスラム国家であり、当時は現代人の感覚では野蛮と思われる処刑も、世界中で一般的だったと説明していた。
いずれにしても、何が何だかわかっていないのに、アメリカはイスラム国壊滅を宣言し、欧米諸国と共に激しい空爆を繰り返している。
我々日本人も、アメリカの方針に何となく追随している感じだ。
だから安倍晋三が、イスラエル国旗を前にイスラム国に敵対する発言をしても、大して疑問に思う事もない。

ただ、アメリカや西欧を支配するキリスト教が、今回の悪役となっているイスラム教よりも優れている訳でもない。
我々日本人は、キリスト教とは400年以上の付き合いがあるが、一方のイスラム教には極めて馴染みが薄い。
しかし今やイスラム教は、世界最大の信者を抱える大宗教だ。
もともと砂漠の地から発祥し、主として発展途上国や貧しい信者が多いので、キリスト教ほど著名人の信者がいない。
知らないから、イスラム教こそ諸悪の根源と言われると、集団で洗脳状態になってしまう。

大半のイスラム教徒は平和を愛し、暴力には反対しているが、イスラム国は、イスラム圏の中でも異常で例外的な集団と主張する人は多い。
しかし、今の秩序が出来上がるまでは、キリスト教だってかなりの無茶を繰り返した歴史がある。
我々が知らないだけで、実はイスラム国こそが、イスラム教徒が理想とする社会の可能性だってあるのだ。
そのイスラム国は、周囲の彼らが敵と見做している西欧諸国だけでなく、近隣のイスラム国家とも戦争状態にある。
であればその戦争に勝ち抜くためには、彼らなりに防衛上、あるいは先手を打って、敵と見做した勢力には攻撃を仕掛けるはずだ。
平和こそ大事と信じている日本人が、「戦争の悲惨さを世界に届けたい」との目的で、戦闘地域に潜入する事は、戦争の当事者から見れば全く迷惑な行為だし、その真意が伝わるまでは敵と見做される可能性が大きい。
今回の拉致被害者後藤健二さんの母親が記者会見をしていた。
「健二はイスラムの敵ではありません。解放してください」と訴えていたが、イスラム国からは「では、敵でなければ、イスラム国の味方か?」と問い直される。
イスラム国にとっては、選択肢は敵か味方かの二つしかなく、中立はあり得ないし、それは敵と同じなのだ。

僕は、フランスの新聞社襲撃事件への、フランスを始めとした西欧諸国のヒステリックな反応に、強い違和感を持っている。
テロが容認できないのは当たり前だが、何故テロが起きたのかは、フランス人は冷静になって考えなければならないはずだ。
あの事件は、襲撃された新聞が、イスラム教の預言者、ムハンムドを揶揄さえしなければ起きてはいない。
その後のデモ参加者が、フランス革命以来の基本理念、「自由、平等、博愛」は絶対に譲れないと力み返っていた。
しかしそれなら、ではごくごく最近まで植民地支配してきたアルジェリアやその他の国々に対して、フランスはその基本理念に基づいて接してきたのか!
また、「表現の自由」は絶対に譲れないと力説し、イスラム教を揶揄する事は権利としながら、ナチス礼賛禁止を受け入れているのは、ご都合主義ではないのか!
どうも彼らの理屈は、所詮は白人とキリスト教文明の、上から目線の対応ではないのか!
だから、「後進国の蛮人たちが信じている宗教は、レベルが低いに違いない」と、勝手に決めつけているのではないか!

世界中には、自分たちと違う価値観を持っている集団が多数存在しているはずだ。
であれば、フランスが、あるいはキリスト教を背景にした西欧諸国が、イスラム教に対して敬意を払わない限り、例え一部であってもハネッカエリのイスラム教徒がテロに走る恐れは否定できない。
僕は、イスラム国やアルカイーダのテロを容認する気持ちは皆無だ。
しかし、安倍晋三のようにアメリカべったりの方針を明確化すれば、当然ながら日本もまたイスラム国の敵国と扱われる。
何がどうなるのか、良く分かっていない状況の中では、もっと強かな両睨み外交が必要なのに、安倍晋三の西欧諸国へのリップサービスは余計だったと思う。