昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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大塚家具はどうなるのだろう

派手な親子喧嘩が世間を騒がせている大塚家具だが、ここまで醜態を晒してしまうと、最早企業としての明日は厳しい。
親子喧嘩の原因は、典型的な新旧ビジネスモデルのぶつかり合いなので、野次馬にも分かり易い。
僕は大塚家具には縁もゆかりもないし、一株すら持っていないので、喧嘩の帰趨がどうなろうとも全く構わないのだが、個人的には長女の社長側に理があると感じている。
何よりも、70歳を超えた創業者会長が、未だに自分のやり方が一番と言い張っている事は、呆れるほどの時代錯誤と思うからだ。

この手の人物が一番厄介なのは、自分の成功体験から抜け出せないばかりか、それ以外のやり方を全て否定してしまう、頑迷固陋な老人になってしまう事だ。
しかしもっと重症なのは、そんな企業人としては半ばボケて老害と化している会長を支持する現役幹部たちが八割も存在し、連判状を出している事の方だ。
会長の記者会見にも、幹部連中が後ろにずらりと並んでいたが、揃いも揃って事業環境の激変ぶりへの無理解、無関心振りに驚き呆れる。
こんな社員が多いのでは、今の企業に必要とされる、カイゼン(改善)、改革などは、大塚家具に於いては到底覚束ない。

ごく常識的に考えても、少子化の荒波の中で、あらゆる産業で需要の先細りは避けて通れない。
また国際競争が現実になり、家具業界でも巨大外資が日本市場に参入している。
消費者の財布の紐はきつくなり、不要不急の品物は極力購入を控える。
家具のような耐久消費財は、家を新築したり、子供の結婚などが一番の買い時だ。
しかし少子化で一人っ子が増えると、家は親が建てたものを貰えばいいので、結婚しても自分たちの為に、敢えて金を出してまで新築する必要がない。
結婚の件数だって、子供が減れば比例して少なくなるし、家具を買う時も昔のように、両親が豪華な花嫁道具を仕立てる風潮も廃れている。
これは家具業界だけでなく、建築業界や家電業界でも、他人事ではない極めて深刻な大問題なのだ。
経済環境が変わっている中では、あらゆる業界が、今までのやり方が通用する状況ではない。

会長の作り出したビジネスモデルは、会員制で顧客を囲い込み、来店時には店員が付きっきりのサービスで顧客の優越意識をくすぐり、高級家具を売りつけるものらしい。
しかしこの方法は、ほとんど全ての業界で、旧式モデルと位置付けられるモノだ。
実際に店員にピッタリと張り付かれ、あれこれセールストークを繰り返されると、「もうイイカラ、放っておいて」と言いたい気分になる。
要は、需要低迷、顧客の低価格志向の中で、どうすれば生き残る事が出来るのかが知恵の出しどころなのに、昔成功したやり方が現在も通用すると信じているオメデサに驚いてしまう。

何よりも会長は、未だに会社は自分のモノとの創業者意識から抜け切れていない。
株式を上場した時点で会社は個人の手を離れ、株主のモノになっているのだが、自らが18%の株を所有する筆頭個人株主ではある為に、いつまでも今まで通りに何でも自分の一存で決められると勘違いしている。
また自分が選んだ後継者社長を「悪い子供」と切り捨てているが、その後釜は自分自身であり、その後は長男と、まるで同族企業の身内たらい回しを何ら疑問としていない。

世間の常識に背を向け、唯我独尊で社長返り咲きを画策する創業者と、それに唯々諾々と従う多数の幹部社員。
これが大塚家具の現状なら、3月27日の株主総会で社長、会長のいずれが勝っても、この間の大喧嘩で大塚家具ブランドが失ったものの大きさを考えれば、大塚家具に明日はない。
家具は一度買えば、長時間にわたって使い続ける。
そんな縁起物を、喧嘩塗れの会社からは買いたくない。

それでも一縷の望みがあるとしたら、やはり新たな挑戦を掲げる長女、社長の側が経営を続ける時だろう。
大塚家具とは、まるで利害関係がない、無責任な行司は、そんな軍配裁きだ。