昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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ウィーンまでの苦労旅

葛城ゆきが熱唱した、「ボヘミア~ン」からは、何とも牧歌的なニュアンスが伝わってくる。
確かにチェコ共和国は、ヨーロッパの中でも田舎の国の匂いがする。
チェコ人もまた、田舎っぺ集団なのだろう。
そのチェコ人たちが、「田舎だけど風光明媚な町」と言うくらいだから、チェスキー・クルムロフの田舎度は本格派だ。
ホテルで映るテレビ番組も、ほとんどはチェコや隣国オーストリア、ドイツの古い映画やローカル番組ばかりで、スポーツ関係はチェコ国技のアイスホッケーだけ。
こんなところに二泊三日もいたのだから、後半は人里が恋しくなってしまった。

この日は、チェスキー・クルムロフに比べれば、遥かに大都会のウィーンを目指す。
事前にプラハ駅でチケットは購入済みだが、その時の太ったオバさんお勧め行程では、二度の乗り換えが必要で、その時間が5分と6分しかない。
しかしチェスキー・クルムロフのバス停留所の佇まいを見ただけで、バスから鉄道へ5分で乗り継ぐのは駄目と判断できてしまう。
ホテルで受付のネエチャンに相談すると、「ワタシの同僚がタクシーをやっているからOK。料金は20€くらい」と、すぐに手配してくれた。
翌朝来たタクシーは、運転手が女性なので、重い荷物は全て自分で乗せないといけない。
このタクシーはビュンビュン飛ばして、15分で目的駅に到着した。
料金はジャスト20€、メーターも何もないので、受付ネエチャンとグルの白タクだったようだ。

兎にも角にも一安心で、乗り継ぎの電車を待つが、この駅には、乗客どころか駅員の姿もない。
一応電車が二両止まってはいるものの、今度はこの駅や鉄道はチャンと稼動しているのかが気になってくる。
20分ほどすると、女性二人組みがやってきたので、どうやら電車が来るのは間違いなさそうだ。
そこで、壁の時刻表で我々の乗る予定の列車を指差し、どのホームなのかを聞くと、アッチと指差す。
後は電車到着を待つだけと、更に安心感が募る。
ところが発車10分ほど前になると、件の女性二人組みは、すでにホームに停車している電車にサッサと乗り込んで行った。
慌てて追いかけると、列車の目的地表示には、我々の次の乗換駅が書いてある。
それならホームを聞いた時に、「我々もその列車に乗るから」と教えてくれればいいのにと思うが、チェコの田舎ッペ女性にそこまで期待してはいけないのだろう。

当初搭乗を予定していたバスは、案の定、定刻になっても到着しない。
タクシー利用は大正解だったと自画自賛していたら、今度は列車が定刻になっても動かない。
そうこうしているうちに、バスが15分遅れで到着し、乗客が乗り込んだところでやっと列車が発車した。
どうやら、遅れたバスを待っていたようだ。
列車が動き始めたので、取りあえずは一難去ったが、次の乗り換え時間はわずかに6分。
車掌に聞くと、「たぶん大丈夫だけど、自分はチェコの担当なので、オーストリアの同僚に聞いてくれ」と、明るく責任転嫁された。
冷静に考えれば。二時間弱の乗車で最初に15分も遅れれば、ほとんど絶望的だ。
結果はやっぱり!で、次のリンツ駅到着も15分遅れとなった。

駅のチケット売り場で、列車変更の手配をしなければならない。
担当者は、いとも簡単に「次に来た列車に乗ればいい」と答えるが、こっちは重い荷物を持っているので、ファーストクラスを予約している。
次の便のファーストクラスに変更しないと、元が取れない。
するとロクに確認もしないまま、「OK!」と安請け合いで、すぐに発券してくれた。
この辺のアバウトさは、大いに助かる。

トラブルと心配続きだったが、何とかウィーンに到着した時は、心から安心した。
今回の反省点は、こんな片田舎の国を回るのなら、乗り換え時間はタップリとらなければならないことだ。
駅の係員の推薦などは、絶対に信用してはいけない。
尤も、こんなトラブルもまた、旅の楽しみとも考えられる。
ウィーンの最初の目的はオペラ「こうもり」の鑑賞で、これに間に合いさえすれば、その他は別段急ぐ旅でもない。
発生したトラブルを、一つ一つ解決しながら前に進むと、妙な充実感があるものだ。