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いよいよ見納め「アメリカン・アイドル」

我が家では、もう20年以上、ケーブルテレビを受信している。
それまでの地上波、衛星放送に加え、様々なジャンルの番組を見ることが出来る。
ついでに言えば、WOWWOWも開設当初から契約している。
こちらも最近、三局体制になり時間が足りず、録画して見る事が増えた。
 
そんなケーブルテレビの中で、アメリカのFOXも三チャンネル体制で放送している。
そしてヒョンな切っ掛けで、そのFOXが放送する「アメリカン・アイドル」と言う番組を見始めた。
再放送も含めると、四年間見続けている事になる。
この番組は、日本の「君こそスターだ」のアメリカ版だ。
現在は14シリーズ目なので、日本版の方が歴史は古い。
しかし番組の内容は、日米間ではまるで違う。
 
日本の場合は、将来性のある歌手を有力芸能事務所が発掘する形式だった。
だから決勝戦まで勝ち残り、最終的に事務所からお呼びがかかると、晴れて芸能人としてデビューできるシステムだった。
それまでの合否は、全て審査員に委ねられていた。
一方のアメリカ版は、先ずは地方予選に応募してきた数万名の応募者をスタッフが面接し、数百名の合格者に絞り込む(らしい………と言うのは、放送ではこの場面はカットされ、いきなり審査員が300名近い合格者を決めるところから始まるからだ。)
この審査員が超大物歌手たちで、昨年はマライヤ・キャリー、今年はジェニファー・ロペスニコール・キッドマンのご亭主、キース・アーバンまで登場する。
 
そこから一か月間ほど掛けて、ベスト30を決めるまでは、全ての候補者の生殺与奪は審査員に委ねられるが、ベスト12以降の勝ち残りは、全米中の視聴者電話投票の結果に変る。
何でも投票総数は3千万件とも4千万件とも言われ、決勝戦になると1億万件を超えるらしい。
一人20件までは投票できるようなので、投票した人の数にはならないが、それでも2百万人とか5百万人が電話を掛けた事になり、その規模の大きさにも驚く。
そして、一人ずつ落後してゆき、最後は決勝戦で優勝者を決める。
つまりこの番組では、「最終的勝者は唯一人、複数の勝者などはあり得ない」ことになっているのだ。
日本版は複数の合格者を出すが、アメリカ版の最終的な勝者を一人に絞り込むのは、日米の文化の違いだろう。
 
しかし違っているのは、それだけではない。
アメリカ版の場合、ベスト30まで来ると、全員が無茶苦茶に歌が上手い。
玄人裸足のアマチュアが毎年毎年現れるのを見ると、アメリカの歌世界の奥の深さを感じてしまう。
そんな達人たちが、それでも一人ずつ消えていかざるを得ないのだから、選ぶ方も大変だろう。
このアメリカン・アイドルからは、桜田淳子山口百恵、あるいはピンク・レディのような、「歌は大したことはないが、見栄えがソコソコなので」みたいな歌手は間違っても誕生しない。
候補者は全員がけたたましく歌が上手いが、単にそれだけでなく、アメリカ中の視聴者から支持されないと生き残れない。
そしてアメリカの視聴者は、決勝戦に近づくほど、より歌が上手くないと絶対に投票しない。
歌手である以上、ルックスではなく歌唱力との、至った当たり前の考えが徹底している。
抽象的な「魅力」や「スター性」などは、全くお呼びではないからだ。
 
日本の場合、審査員や芸能事務所の判断は専門的だが不透明だ。
オリンピック代表を選ぶ時も、何とか協会委員たちの合議と称して、選考過程は藪の中で決まる。
アメリカは、選考大会での一発勝負なので、運不運はあるだろうが、分かり易い。
たかが流行歌手の選考でも、日米の文化には大きな差がある。
 
その番組、アメリカン・アイドル今年度版は、30日土曜日で優勝者が決まる。
そして、来年で終了するらしい。
経費増に見合う、視聴率が取れなくなったのが打ち切りの原因だと言われる。
毎年、アメリカンサクセスストーリーを目の当たりにするチャンスがなくなるのは、誠に残念だ。