昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

日頃の思いや鬱憤を吐露!無礼千万なコメントは削除。

持病と健康

僕の父は決して体格に恵まれた方ではないが、足腰は強く、相撲では負けたことがないのが自慢だった。
しかしその父も、生前三つの持病に悩まされた。
喘息、痔、水虫で、本人にとっては深刻だったようだ。
特に喘息では、一度危篤に陥ったことがあるくらいで、長期に亘って最も悩んだ病気だった。
尤もこの喘息は、晩年脳腫瘍に罹患した時には、全く症状が消えた。
医者の観立てでは、ボケてくると外部の気温変化にも鈍感になり、喘息の症状が出なくなることがあるとのこと。
父親がボケるのは辛かったが、一方では父親を苦しめ続けた喘息からは解放された。
人生、悪い面ばかりでなく、良い面もある。
 
痔を患ったのは、喘息で危篤になった時だ。
喘息の発作の咳を必死に我慢したために、腸が飛び出してしまったことに端を発している。
何度も手術したが、こちらは死ぬまで完治はできなかった。
水虫は、名前からして大した病気とは思わなかったが、ひょっとしたら一番悩んだかもしれない。
歩くこともままならず、あらゆる薬も効果なく、最後は洗面器に酢を張って、激痛に耐えながら治療していた。
皮膚がボロボロになっていたが、暫くは痒みがなくなっていたようだ。
 
そんな父親を見ていたので、僕は小さいころから、自分の足指が水虫になる事への恐怖があった。
特に脂足で汗っかきなので、油断をするとすぐに痒くなる、
すると痒みがひどくなる前に、買い置きの水虫特効薬を塗り、用心した。
また常日頃、靴を履くときには必ず革製の靴底を利用した。
毎夜それを取り出して完全に乾かした後、朝に靴を履く時に、使用することを心掛けた。
そのお陰で、父親のようには、水虫に悩まずに済んだ。
 
父の持病はいずれも後天的なものだったので、僕が遺伝的に引き継ぐことはなかった。
体格的には父と同様にたいして恵まれていないが、内臓や体力面では人様並みかそれ以上の強さがあったようだ。
その所為で僕は、この歳まで病気らしい病気をしたことがないし、これと言った持病もない。
確認したことはないが、痔なんか、誰よりも美しいのではないかとすら思っている。
敢えて言えば、血圧が高めなのだが、これも薬と毎日のウォーキングで体重が落ちたために、今では理想的な幅に落ち着いている。
有り難いことだ。
しかしこんなことは、振り返って初めて分かる。
会社に勤めている時は、まさかのことを想定していっぱい保険をかけていた。
今にして思えば、保険代をもっとケチっていても大丈夫だったが、これもまた「安心代」のお陰で健康だったと考えれば割が合う。
 
残った課題は、如何にして健康なままでご臨終を迎えるかだ。
僕の場合は、母は69歳、父が79歳で逝去している。
だから勝手に、最初の山場を、今から3年後の69歳に置いている。
ここでコロリと逝くことを考え、それまでに悔いがないように、この数年を生きる積りだ。
幸いにして最初の山場を越えたら、次は父親の寿命、79歳が目標となる。
こうして小刻みにマイルストーンの決めると、老後の無駄な時間が少なくなるような気分になる。
 
僕の周辺では、やれ「癌になった」とか、「脳梗塞で倒れた」とか、何かとヤバい状況に陥る人が多い。
同級生で、もう死んでしまった連中も、増えてきた。
何が起きても不思議ではない、そんな年ごろに差し掛かっている中で、持病がないのは奇跡的に恵まれている。