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「歴史的中台会談」で馬英九は何を得た?

よその国の事なので余計なお節介だろうが、台湾の馬英九総裁と中国の習近平国家主席の会議には違和感を覚える。
そもそも台湾にとって、中国共産党と話し合って、何がプラスになるのだろうか?
 
今回の「歴史的な階段」で、馬英九習近平の間では「一つの中国」が確認されたらしい。
馬英九の狙いを最大限理解しようとするなら、
 ・台湾は中国との貿易を増やしていかない限り、国家経済が成り立たない。
 ・拠って自分の任期中に、中国との取引拡大の端緒としたい
と言うものだろう。
 
僕は、台湾の顧客とも付き合いがあった。
そこの玄関には、馬英九揮毫の掛け軸が飾ってあった。
その背景には、中国本土での事業展開があり、実際に工場を建設し意気揚々としていた。
台湾で国民党を支持する連中は、大体こんな考えだと思われる。
 
しかしその会社の中国進出は、結果的にはうまくいかなかった。
既に中国の人件費は高騰し、「世界の工場」と持て囃された昔の優位性はない。
しからばと、中国を市場としてみても、すぐにパクり製品が登場するお国柄なので、技術的な優位性も維持できない。
撤退するのにも苦労が多かったようだが、スゴスゴとしっぽを巻いて退散することになった。
その後も国民党を支持し続けているのかは知らないが、中国本土での事業展開に多大な期待を持ち、実際にやってみて挫折した台湾企業はこの会社だけではないはずだ。
 
そもそもアジアでもトップクラスの技術を持ち、且つ民主主義が完全に機能している台湾と、共産党独裁政権の中国では、本質的には水と油だ。
しかも国民党と共産党は、血で血を洗う内戦を経験した不倶戴天の敵同士のはずだ。
それでも国民党総裁の馬英九が、中国共産党に秋波を送る意味は、苦戦が伝えられる選挙への起死回生の勝負手でしかありえない。
習近平もまた、台湾で民進党が国民党に勝つことは本意ではない。
そんな二人が、芝居掛かって「歴史的会談」を実施したのだが、果たして思惑通りの結果になるのだろうか。
早速台湾の野党は、馬英九を厳しく批判しているし、台湾の国民の、習近平の本心をすぐに見破ってしまうだろう。
 
しかも肝心の中国経済は、今までの右肩上がりは過去の話になっている。
今や、中国経済の破綻は秒読み段階で、下手に首を突っ込むと火傷してしまう。
そんな中国共産党の延命策にミスミス手を貸すなんて、元台湾総統李登輝が懸念していたように、馬英九の政治家としての軽薄さを感じてしまう。