昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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夢は(非営利)盆栽師

盆栽を始めて30年近くなった。
当時はちょうどバブル期で、ちょっと見栄えのいい盆栽は、驚くほどの高額で取引されていた。
ほんのちょっと垣間見た世界だったが、それでも盆栽を取り巻く環境は決して真面ではない。
かなり、ヤクザがかっていることが分かった。
特に名のある展示会では、成金連中がカネにモノを言わせて超高額盆栽を買い込み、賞を競う。
早い話が、賞をとるような盆栽は決まっていて、都度持ち主だけが変わって虚栄心を満たすのだ。
当時は地上げで名を馳せた不動産業者の全盛時代で、将に名誉をカネが買う状況そのものだった。
当然ながら、サラリーマン風情が、通用する世界ではない。
 
そんなことは端から分かっていたので、僕の場合は、定年後の暇潰しが目的だった。
その為には、少しでも早くから盆栽の技術を身に着けないといけないと思い立って始めたものなので、バブルに踊るような派手さはなかったが、それでも今にして思えば随分と背伸びをしていたと反省する部分もある。
盆栽の世界は、基本的に詐欺商法が罷り通っている。
盆栽を買う時には元本保証が売りとなっているが、ビジネスで元本が保証されることはありえない。
こんなことを言うヤツは、全部インチキを思って間違いない。
盆栽もまた、元本が保証されるのは、次の盆栽を買う時だけだ。
しかし次の盆栽は前のモノよりも高価なので、必ずキャッシュアウトする結果となる。
引き取った盆栽は、次の購入者に同じシステムで販売される。
盆栽初心者から、有名展示会で賞を競う成金までランク付けされて、有名盆栽が盥回しされる。
 
そのうちに、家を建て替えるタイミングで資金不足に陥り、付き合っていた有名盆栽師とは、金の切れ目が縁の切れ目で疎遠になった。
その後は、わずかに残った盆栽を慈しむことになった。
そんな楽しみ方で15年が経過したころ、ネットオークションで盆栽を買うことが出来るようになった。
盆栽業者の場合は、相場などない。
業者の言い値で買うしかないから、度々騙される。
しかしオークションなら、自分で値付けができる。
仮に騙されても、自分で決めた価格なので、自己責任で諦められる。
そこからもう一度、盆栽集めが始まった。
 
ところが、好事魔多し。
オークションが盛況になるにつれて、落札価格がどんどん上がってしまう。
昔は掘り出し物をゲットできたが、今や良い盆栽にはビットが殺到して、アッと言う間に予算オーバーになる。
結局は、今まで買い込んだ盆栽の手入れが唯一最大の楽しみ方になった。
 
今年になって、盆栽道を少し開眼した。
盆栽道とは、枝抜きに尽きる。
抜いた枝は戻らないから、枝抜きには、勇気がいる。
しかし思い切って鋏を入れた後に、樹格が上がると会心の気分になる。
今年は2月中旬から一か月間で、30鉢くらいの盆栽を改作した。
達成感があると同時に、今後の盆栽の成長が楽しみだ。
目指すは、非営利盆栽師!