奥方の麻央夫人が、進行性の乳癌に罹っているらしい。
記者会見で海老蔵本人が、「深刻な事態」と話している。
確かに、癌が見つかって以降、闘病生活は一年八か月にも及んでいると言う。
それほど長期に治療をし続けても尚、未だに「深刻な事態」らしいから、奥方の病状がただ事ではないと感じさせる。
奥方の年齢は、未だ33歳。
歌舞伎界一のプリンス、成田屋の御曹司と六年前に結婚。
夫からは傍も羨むほどの愛情を受け、舅、姑からも可愛がられ、一番の使命、跡取りにも恵まれた。
女性としては最高に輝かしい存在のはずなのに、ある日突然、病に侵される。
さそや悔しいだろうし、将来への不安も強いだろう。
そんな中でも市川海老蔵は、極めてプライベートな家庭の事情を公開しなければならない。
芸人とその家族は、辛いモノだ。
僕の好きなNFLでも「乳癌撲滅キャンペーン月間」が設定され、多くの選手がピンクリボンを着用して、女性の定期検診を呼び掛けている。
乳癌が社会的問題と提起されるほど、女性の中では最近増えている病気だ。
市川海老蔵一家は、体調には人一倍気を遣わないといけない有名人だし、実際に癌が発見されたのも健康診断だったと言うが、その時には時すでに遅すぎたらしい。
海老蔵の記者会見では、これが運命と達観し、家族全員が協力して病魔と闘う心構えを感じた。
翻って我が身を見れば、年齢はこの奥方の倍以上を生きている。
まさしく馬齢を重ねてきたが、今のところ健康そのものだ。
伝統芸能の担い手、市川海老蔵一家は、健康に細心の注意を払っていても、奥方は病魔に侵される。
一方、社会的にはどうでもいいような当方は、健康に恵まれて元気いっぱいだ。
運命は、斯くも皮肉なモノだ。
勤めていた頃には、毎年の健康診断を会社から強制されていた。
要再検が嫌で、健康診断の前だけは健康に留意した生活をしていたが、先輩から「いつも通りにしないと本当の健康状態が分からない」と注意された。
稼ぎ手として、それなりに家族へのは責任があったので、嫌々ながら健康診断を受けていたが、もはや年金生活者となったので、仮に今コロリと死んでもわずかに家族数人が悲しむ程度だ。
社会貢献は極めて小さく、皆無に近い。
いつまでも頑張って、健康に留意する必要はない。
予て、健康診断なんて煩わしいと思ってきたし、来年からは定期健康診断を辞めようかと思っている。
市川海老蔵一家の悲運を思えば、当方なんて所詮は「俺は河原の枯れすすき」。
「後は野となれ、山となれ」みたいな用心でも、充分のような気分になる。