昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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バイロイト観光

ニュルンベルグ三日目は、列車で約1時間のバイロイトへ。
ここにはオペラ界の大御所、ワーグナー大先生が自ら手掛けた祝福歌劇場リヒャルト・ワーグナー・フェストシュピールハウスがある。

駅に到着して歩くこと、20分、小高い丘の中腹に、その建物があった。
しかし、老夫婦が一組いるだけで、後は全く人影がない。
入り口を見つけると、そこにはTシャツ姿の若者が四人いる。
ホッと安心して、チケットを買おうとするが、受付のオッチャンに英語が通じない。
助っ人のオバハンが登場したので事情を聞くと、「歌劇場は7月末からの音楽祭を前に改造中なので中を見ることはできない」と言われてしまった。
ついでに「ドイツにはいつまでいるの?ネット経由でチケットを買えば見ることができるヨ」みたいな慰めを言われたが、バイロイト音楽祭とチケットなんて10年待っても買えるもんじゃない。
因みに先にいた四人の若者は、歌劇場を訪ねた客ではなく、内装工事の担当者だった。

泣く泣く諦めて、次の目的地、辺境伯オペラハウスを目指す。
玄関が開いていたので受付に直行したが、またも「歌劇場は現在クローズ」とにべもない。
「いつオープンするの?」と聞くと、「2018年!」と一言。
二か所続けて締め出しをくらって、すっかり意気消沈になった。

バイロイト最後の目的地は、ワーグナー博物館。
ところが道案内の表現が悪く、なかなか見つからない。
やっとのことで見つけた博物館だが、入り口の張り紙がドイツ語なのでさっぱり内容が分からない。
しかし途中に「keine」の文字があるので、今度もダメかと絶望的な気分になった。
遠くに係員を見つけ、ダメ元で話しかけたところ、この人も英語が話せない。
しかしドイツ語で必死に説明している内容は、どうも「あのドアの先がチケット売り場」みたいな感じがする。
そのドアまで行って押してみたが、ビクともしない。
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係員に諦め顔で振り返ると、「引け!」みたいなジェスチャーをしている。
引いてみると、何と実に簡単にドアが開いた。
係員は破顔一笑、こちらも三件目でやっとワーグナー関連施設を鑑賞できた。
この記念館は、ワーグナー好きには応えられないほどの充実ぶりで、今回はここだけしか見ることはできなかったが、それでも大いに儲けた気分で帰路に就いた。

バイロイトワーグナーの町で、わずか歌劇祭の一か月で一年分を稼ぐ。
至る所に、ワーグナーの超短足彫像が置かれていた。
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彼のヒトラーも、ワーグナーの音楽の大ファンだったと言われる。
天才ワーグナーの歌劇は、確かに壮大な音楽で聴く者を惹きつけるが、一方では優秀なゲルマン民族への賛歌、排他排斥主義的要素も強い。
持てる者も持てない者も、助け合う平和共存の社会は理想だが、それはあくまで建前。
現実の世界は、我らこそ世界に冠たる最優秀な民族と思い込んでいる連中の集合体だ。
芸術は普遍だと考えられるが、決してそうではない。
むしろある一部の民族、国家の国威発揚に利用されることが圧倒的に多い。
その証拠に、キリスト教に深く影響された文化を、イスラム教徒が認めることはない。
ワーグナーの町、バイロイトで、そんなことを考えさせられた。

途中で昼食。
看板を頼りに、焼きそばを注文。
但し海外の食べ物は、ボリュームがバカみたいに多い。
今回は妻と一人分をシェアすることにしたが、店員が意外と機嫌よく受けてくれた。
出てきた焼きそばは、案の定、二人で食べてちょうどの量。
それでいて、4.5€は安い。