昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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エルミタージュ美術館二日目

サンクトペテルブスブルグとは相性が悪い。
到着翌日から体調を壊し、依然としてよくならない。
この日の朝も、無理してパンを一個食べただけなので、力が入らない。
それでも昨日見逃した、エルミタージュ美術館の西洋絵画を見に行った。
昨日とほぼ同じ時間に到着したが、こちらは先客がわずかに数組。
本館に比べると、圧倒的に見物客が少ない。
それでも、展示されている作品はどれもこれも凄い。
いきなりマチスの絵画が三室、ゴーギャンピカソゴッホセザンヌ、モネ、ルノアールなんかが、ゴロゴロと展示されていた。

静かに鑑賞できる時間は、そうは長くは続かない。
イタリアからの団体客が押し掛けてきた途端、展示場が一気に喧騒に包まれた。
ガイドがマイクを使って絵の説明をしているが、イタリア語なので皆目分からない。
肝心の見物客は、ひたすら写真を撮ることに熱中している。
この連中は、絵を見に来たのか、あるいは写真を撮りに来たのか!
オバハンは、一つ残らず写真に収め、且つ絵画の説明分まで撮影していた。
いつもは、中国の団体客をやり玉に挙げてきたが、イタリアもまた大差がない。
静かに絵画を、鑑賞できないモノだろうか。

そもそも、展示されている名画を写真に収めてどんな意味があるのか。
「私はこの絵の現物を見た」との証明にはなるが、それは他人への自慢でしかない。
また後に振り返って写真を見ても、実物を見た時の感動が蘇るとも思えない。
恐らくは、遠方から費用と時間をかけて世界的に有名な施設を見に来たとの自己満足と興奮が、写真ジジイや写真ババアを原動力だろうが、傍で見ていると見苦しくさえ感じる。

エルミタージュ美術館の中では、西洋絵画は主流ではなさそうだ。
それでも2時間以上をかけても、全部を見終わるものではない。
こんなロシアの地方都市の博物館に、何でこのような世界の名画が集まったのだろう。
体調不良の中で、一応全部の絵画を見たので、いったんホテルへ帰る。
食欲は全く戻らない。
フルーツくらいしか食べられないので、ホテルの受付にフルーツショップの在りかを聞いてみた。
親切に地図とホームページを印刷してくれたが、買い出しに出かけた妻によると、全く普通の建物なので、そこがフルーツショップとは絶対に分からないと言う。
ホームページにある、訳の分からないロシア文字の店名を、矯めつ眇めつで確認して、奥に入り込んだら、そこにフルーツが置かれていたらしい。
何はともあれ、久しぶりに固形物を食べることができた。