僕は、自分の耳を疑った。
最近のテレビニュースの主演女優賞候補、小池百合子がマイクの前に立っていた。
報道陣の質問事項は、「築地の土壌汚染」。
おいおい、それはないだろう。
しかし実は、誰かを悪者に仕立て上げ、一種の集団リンチで憂さ晴らしをする方法でしかない。
その証拠に、あれだけ豊洲市場の価値を木っ端みじんに壊してしまった後の対応策など、全く示されることはなかった。
小池百合子もまた、築地再開発が持論だったとも言われていた。
しかしその築地にも、土壌汚染の火の粉が飛んでしまった。
その結果が、小池百合子の先の報道陣への、如何にも切れの悪い返答になったものだ。
そもそも汚染対策でコンクリートで覆えば問題がないのなら、この間、移転を延期したことで発生した費用は全くの無駄金になってしまうではないか。
専門家の評価では、豊洲は市場として安全だと断定されている。
しかし小池百合子は、「安全だが安心ではない」との理屈を持ち出し、市場移転をストップさせた。
この措置で、盛り土問題が明らかになり、今までの土壌汚染試験結果が覆るようなデータが発表されたことを、小池百合子の成果と褒めちぎる風潮もあった。
しかしこれを以って、豊洲が市場として不適格とするものではない。
盛り土をしない決定はだれの責任で決定されたか、今までのデータの信頼性はどうなのかは、豊洲への移転とは無関係に調査すればいい話だ。
更に大問題なのは、汚染塗れの負のイメージが定着した豊洲に比べ、敢て汚染が問題視されなかった築地でも、汚染の実態が明らかになってしまったことだ。
実は築地の汚染問題は、公然の秘密だった。
しかしその後、「現に築地で仕事をやっている人がいるから、これは言ってはいけないのかな。今は違うと思いますよ、ちゃんとされているはずだから」と配慮を見せた。
しかしそれは、早期に豊洲に移転するのだから敢て問題視しないとの、いわゆる「オトナの対応」で不問に付されていたものだ。
それが豊洲移転をモタモタするものだから、とうとう叩けば埃が出る築地の問題点をつつかれてしまった。
今まで自他共に「築地ブランド」と誇っていたものは、実は砂上の楼閣だったことまでバレてしまった。
将に大山を鳴動させて、誰一人儲からない事態となってしまったのだ。
また小池百合子のお先棒を担いで、「築地改修こそ唯一の解決方法で、それは可能」などと寝言のようなことを発信しまくった評論家たちもまた、その責を逃れることはできない