午前午後、合計四時間に亘った昨日の籠池泰典証人喚問。
僕は録画予約をしてゴルフに出かけた。
そのゴルフ場では、テレビの前は黒山の人だかりで、この問題への関心の高さがうかがえた。
帰宅後証人喚問のほぼ全内容を、録画ビデオを再生した。
そしてその感想は、「これは立場立場で、評価が180度違ってしまうナァ」だった。
人間には確証バイアスがかかり、自分に都合の良いように解釈してしまう。
早速「これで幕引き」派と、「むしろこれが入り口、真相解明は今から」派の主張が入り乱れている。
森友学園内の力関係から見て、仮にこんな場面があったとすれば、そこには必ず籠池諄子が同席すると思うからだ。
尤もこんな事は、何の根拠も証拠もない、単なる憶測にすぎない。
この寄付金問題では、安倍明恵が籠池諄子にメールで「記憶が飛んでいて」と寄付金受け渡しの有無を質問したとも言われている。
これが事実なら、この手の話をする場合は大体、明恵夫人側に後ろめたさがあるものだ。
いずれにしてもこれについては、当人同士以外に真相を知る人はいない。
だからあれこれ詮索してみても、最終的には全て自分に都合の良い解釈になってしまう。
一方の安倍夫妻は、籠池夫婦の動きに胡散臭さを感じ、一時期の蜜月関係からから距離を置こうとしたようなので、森友学園が政治問題になった時点で喧嘩別れになることは必然だった。
その後の記者会見で、「貴方は保守派なのに、安倍政権の足を引っ張るのはおかしいのでは」と質問された籠池泰典は「自分は保守派だが、ウソをつくのは良くない」と答えている。
自らが三通の見積書を提出する明らかなウソをついておきながら、他人には「ウソをつくな」とは、教育者にはあるまじき行動だが、これもまた籠池泰典の人物そのものなのだろう。
それよりも籠池泰典には、国会や記者会見で持説を述べるよりも、焦眉の急が迫っている。
それは資金繰りだ。
証人喚問では、このまま破綻すれば負債は17~18億円と答えていた。
更に学校建設用の費用も11億円が未払いであり、既に資産は仮差押えられていることも明らかになった。
このままでは、森友学園だけでなく、小学校建設を請け負った業者にも多大な迷惑をかける。
籠池泰典は味方の積りだった保守派からは詐欺師扱いされ、野党からは利用されただけだ。
僕は証人喚問の時の、籠池泰典の立ち居振る舞いに注目した。
質問されるたびに、右手を小さく挙げ「ハイッ」と返事する。
証言の内容が正しいのかどうかは与り知らないが、彼なりに必死に現状打破に立ち向かっていた。
その姿勢は、彼の人間性とは無縁で、微笑ましく、且つ可愛らしくさえ見えた。
籠池泰典は、今回の証人喚問での偽証以前に、詐欺疑惑で訴追される恐れがあるし、個人破産の可能性は極めて高い。
それだけに、籠池泰典に対しては憐憫の情さえ持ってしまう。
今回安倍政権への絶好の攻撃材料として森友学園案件を利用した野党四党が、窮地に陥った籠池泰典の資金繰りを助ければ、保守教育者を自称していた籠池泰典ファミリーから、さらなる安倍政権追及のネタが入手できるはずだ。
尤もその信憑性には、いささか疑問が残るが。