大相撲春場所千秋楽。
日本人のほとんどが、照ノ富士の優勝と予想していたはずだ。
北の富士は、「これ以上怪我が悪化しないよう」と、端から勝負ありみたいに解説していた。
そうは言っても館内は、稀勢の里の応援一色。
休場と思われていたのに強行出場した14日目の対鶴竜戦は、まるで相撲にならない。
誰がどう見ても、絶好調の照ノ富士には勝てる気がしない。
千秋楽の照ノ富士はまるでアウェイの雰囲気で、全観客を敵に回したようだった。
それでも、稀勢の里が勝つことはないだろう。
そう思いながらも、奇跡を祈って応援していると、なんと目の前でホンモノの奇跡が起きてしまった。
サァ、優勝決定戦だ。
根拠はないが、「ひょっとしたら勝つかも」とわずかな期待を持って見守ると、立ち合いでもろ差しを許してしまった。
将に絶体絶命!勝負あり!!
と思った次の瞬間、本日二度目の奇跡が起きた。
痛めていない右からの強烈な小手投げ一閃で、一瞬早く照ノ富士が土俵に落ちる。
館内は大歓声だし、テレビを見ている当方にもまた、驚きと感激が一緒に押しかけてきた。
この時点で、午後6時。
表彰式が始まり、稀勢の里は感涙にむせんでいる。
先場所の初優勝でも喜びを押し殺していた稀勢の里が、男泣き。
優勝決定の瞬間に臨時ニュースのテロップが流れた様な快挙なのに、なぜ放送を止めてしまうのか!!
遥か昔は、テレビ朝日も大相撲を中継していた。
しかし今や、天下のNHKが大相撲実況中継を独占している。
しかもNHKには、スポンサーとのヤヤコシイ調整など不要だ。
ならば、こんな時こそ思い切って、稀勢の里連続優勝の晴れ姿をライブで放送すればいいのに。
折角の稀勢の里優勝の感激に浸りたかったのに、何とも尻切れトンボで欲求不満だ。
NHKのバカ野郎!
とマァ少々不満もあるが、稀勢の里の優勝には何十年分の溜飲が下がった気持だ。