昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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実は凄い能力の持ちt主だったりして

僕は自分の能力以上に、ツキに恵まれた人生を送ってきたと思う。
今振り返れば、進退窮まってしまう場面が幾度となくあったが、不思議にもその全てをクリアして今日に至っている。
「ツキも実力の内ヨ」と開き直っているが、実は綱渡り人生だった。
 
一方では、能力には恵まれていても、それを生かせていない人もいる。
我が家の妻なんか、その典型だろう。
夫の僕から見ても、例えば記憶力、企画力は、僕なんかに比べると圧倒的に長じている。
あんな才能があれば、勉強の要領さえつかめば、成績なんかお茶の子さいさいだったはずだと思う。
 
夫婦でイタリアを旅行した時、全ての訪問地決定と、旅行日程、段取りは妻が担当した。
最終訪問地のローマで雇ったガイドが、このスケジュールを見て「これはプロが作成したモノ以上、よくできています」と驚いていた。
その後も、夫婦旅行に関しては、あらゆる企画は妻が担当して、僕が口をはさむ余地はない。
しかし今までに二十回近く、様々な国に赴いたが、例えば宿舎や訪問先の予約、手配などで一度としてミスがないし、当然ながらトラブルもない。
これは妻のプランが、実に完璧だったことを意味している。
 
また本人は、空間認識能力には自信を持っている。
具体的に言うと、ややこしく入り組んだヨーロッパ諸国や都市の位置関係を、立体的に、且つ正確に理解しているのだ。
だから各国の訪問順番とか、最も便利な交通手段とかが、即座にイメージできるらしい。
あちこちの名所旧跡を訪ね歩いている時も、東西南北の方角は自然と頭に入ってくるとも言う。
本人は特段に努力して、身に着けたモノではないのだろう。
極々普通に作業をやっているだけなのだが、これは間違いなく才能の一つだ。
ツァーの添乗員の道を進んでいれば、一角の仕事師にして名を成していたに違いない。
 
にも拘らず、彼女の人生の三分の二は、一介の主婦でしかなかった。
しかも、まるでフツーのサラリーマンだった僕のようなオトコの、サポートに費やされた。
誠に勿体ない。
尤も、では自分の能力を最大限に生かせる進路が良かったのかは、実は誰にも分らない。
今更やり直すこともできないし、それはそれで彼女の運命だった。
そう思って諦めてもらうしかない。
 
世の中には、こんな人がたくさんいるはずだ。
そう言えば僕だって、生来の美貌を生かした二枚目俳優への道があったのかもしれないが、他人に憑依する職業を蔑んでいたために、自ら会社員の道を選んだ。
その結果、社会的知名度はほぼゼロだし、他人様からの称賛は皆無だ。
しかし他人からの、非難の声も少ない。
 
生まれ持った才能を生かして生きている人が、幸せとは限らない。
人生とは、全く不可解なものだ。