ロクな仕事もしないうちに、妻帯者の橋本健市議との不倫がバレた所為だ。
しかし不倫相手の橋本健は、その後に政治資金の不正使用がバレてしまい市議を辞職、下手をすれば刑事事件になり逮捕に至る可能性まで出ている。
またこの橋本健は、本職の歯科医でも治療代金の不正請求疑惑が指摘され始め、歯科医資格まで危うくなっているらしい。
それが一転、市議は辞めざるを得ず、歯科医の資格まで覚束なくなる。
嫁さんとは離婚調停中となると、橋本健は今井絵理子と知り合ったばかりに、下手をすると自分の全てを失うことになる。
今井絵理子と不倫騒ぎさえなければ、ひょっとしたら彼がやっていた犯罪は、バレることもなかったかもしれない。
惚れた弱みとは言え、橋本健にとっての今井絵理子は、将にとんでもない疫病神、貧乏神だ。
一方の今井絵理子も、四面楚歌の状況だ。
今井絵理子にとっての橋本健は、最早お邪魔虫以外の何物でもない。
普通に考えれば今井絵理子は、自分の政治生命を守るためにも、橋本健を捨て去ることになるだろう。
しかし、仮にそうしたとしても、今井絵理子が被った汚名や悪評を払拭できる保証はない。
むしろ、今井絵理子が次の選挙に立候補したとしても、当選の確率はかなり低いと見るのが一般的だ。
しかし今の逆境が強ければ強いほど、それをバネにするような方法を考えた方が僥倖が見えてくる。
それは、全てを亡くした橋本健を、今井絵理子が献身的に支える姿を演じることだ。
「私は、本心から橋本健が好きでした」
「橋本健は、多くの失敗を犯しましたが、それでも私は、彼と共に新たな人生を歩みたいのです」
とでもコメントすれば、それまでは「不倫は怪しからん」と非難していた連中も、「今井絵理子と橋本健は純愛だった」と、心境に変化をきたす可能性がある。
死中に活アリ!
塞翁が馬!
禍福は糾える縄の如し!
政治家としての今井絵理子はどうせお先真っ暗なのだから、ここは思い切って橋本健と添い遂げることだ。