日本では衆議院選挙モード一色だろうが、僕はヨーロッパ旅行中だ。
帰国の時には、選挙は終わっている。
いつにも増して今回の選挙には関心が高いので、選挙運動にも選挙結果にも、自分が一切関われないのは残念だが、安倍首相が解散を決めるはるか前からの計画なのでやむを得ない。
インターネット経由で、選挙動向をチェックする日々が続いている。
そんな中で、日本を出国する時にはまだ台風の目扱いで、高い関心を集めていた「希望の党」が急速に失速しているとの報道に出くわした。
小池百合子が大人気の頃から、彼女に批判的だった僕には、これほどうれしいニュースはない。
今回の希望の党失速に関しては、識者から様々な見解が述べられている。
もう少し都知事としての実績を重ねた上で、それを掲げて国政に打って出れば............
今回の小池百合子の行動に対して、そう惜しむ声が多い。
全く正論だとは思うが、しかしこれは、ありえない選択肢だった。
僕は今回の顛末は、小池百合子の年齢への焦りが根底にあると確信している。
小池百合子は必死に若作りしているが、すでに65歳。
いくら政治家の平均年齢が高いと言っても、もはや悠然と将来に備える年齢ではない。
その時に勝負に打って出るのでは遅すぎるし、第一自分の人気がそんなに続くとも思えない。
上昇志向の強い小池百合子は、その時代に注目される男にすり寄って政界を渡り歩いてきた。
しかし、安倍政権における小池百合子は、どうしても女性ナンバーワンにはなれない。
小池百合子は、マスコミから稀代の改革派リーダーで、安倍一強国政への対抗馬としてともてはやされる。
「私は総理大臣になれる!」
国政に行けば、また自らが混乱させてしまった、築地移転問題や東京オリンピックの準備遅れの大難問からも逃亡できる。
そこで腹心の若狭勝を使って、国政政党立ち上げを画策する。
しかしここで、小池百合子に誤算が生じた。
二つ目の誤算は、新党立上げがそんな体たらくの中で、突然安倍晋三が国会を解散したこと。
まだ準備が整っていない段階で選挙になれば、新党の勝ち目はない。
それまで準備にかかわってきた、若狭や細野の努力は「リセット」の一声で雲散霧消。
小池百合子は、準備不足を補うために、強行突破路線を選択した。
ヒトとカネが足りないのなら、民進党を飲み込む。
しかし左右の思想が混在する民進党を丸抱えすると、野合を攻撃されて選挙では勝てない。
それなら左派勢力は拒否する。
それが評判の悪い「排除の論理」へとつながった。
また党の綱領も選挙公約も、準備されていない。
それなら東京都知事選や都議会選挙で有効だった、耳触りの良い言葉を並べ立て、人気を集めれば良い。
しかしその整合性のなさは顕著で、選挙公約には、財源の目処すらない「ベーシックインカム」だけでなく、「「花粉症ゼロ」まで並べ立てられ、顰蹙を買ってしまった。
さすがに小池百合子の都政の無策さを見せつけられてきたので、横文字を使っての目晦まし効果が出なくなっている。
小池百合子は、己の人気を過信し、国政を軽んじてしまった。
あれほど慇懃無礼だった言葉遣いが、居丈高の上から目線に代わる。
天網恢恢疎にして漏らさず!
適当な横文字言葉で、自分の無内容さを煙に巻いて来た小池百合子だが、大将の器には程遠い政治家だ。
いったん化けの皮がはがれると、「一将功成って万骨枯る」どころではなく、将も兵も全滅してしまう。
希望の党は、そんな段階だ。