昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

日頃の思いや鬱憤を吐露!無礼千万なコメントは削除。

太陽光発電の将来性

太陽光発電ほど、期待と実態の乖離が大きいモノはない。
数年前までは、二酸化炭素を派生しない再生可能エネルギーとして、次世代の電力供給源のエース扱いだった。
特に、今となっては悪名しか残っていない民主党政権菅直人が、自分の延命策として脱原発政策を打ち出した時に、政商、孫正義とタッグを組んで太陽光発電を積極的に拡大しようとしたことから、一時期はヨーロッパに続いて日本でも太陽光発電バブルが発生した。
 
こんな風潮が蔓延する中で、妻の友人も、建築会社の「太陽光発電設備をタダにする」との勧誘文句に魅かれ、新居を構えた時に屋根に取り付けた。
最近、その感想を聞かれ、「家の電力はすべてタダだし、余った分は電力会社に売電できるので大儲けだった」と述べたらしい。
もしもこの話が本当なら、もっと太陽光発電が拡大しているはずなのに、現実はサッパリだ。
妻はすっかり訝しがり、僕に事の真偽を尋ねてきた。
僕はこの話は、業者側の実に如何わしいカラクリと、顧客側の勘違いだと断定した。
 
建築業業者は、設備費用3百万円をタダにするとアピールしたらしい。
 
こんなバカな話はありえない。
業者は、慈善事業をやっているわけではない。
太陽光発電設備がタダなら、その分が他の建築費用に上乗せされていると考えなければならない。
業者にとって、3百万円もの利益を捨て去ることはあり得ないからだ。
太陽光発電込みの新築案件を大量に売ることで、太陽光設備その物のコストを切り下げ、そこでも利潤の確保を図る。
それは悪辣でも何でもなく、企業にとっては当たり前の行動だ。
 
顧客側の勘違いは、太陽光発電設備がタダと思い込んでいることから発生している。
実は太陽光発電の発電コストは42円/wと言われ、一般の電力料金の二倍かかっている。
これを2030年までに半減する目標で、処方箋だけは姦しいが、具体的にはなかなか進まない。
だから太陽光発電事業は、政府の補助金なしでは成り立たない。
孫正義菅直人を誑し込んだのも、その目的が政府補助金を引き出すためだったのは、太陽光発電のカラクリを知る人間には常識となっている。
 
妻の友人は、自宅ではタダの電力を使っていると思っているが、実は買電よりも倍のコストの電力を使っていることに気が付いていない。
余剰電力も同じで、高いコストのモノを安く電力会社に販売しているに過ぎない。
 
しかも太陽光発電の致命的欠陥は、設備そのものの耐用年数が15年しかないことだ。
メーカー保証もその間しか有効ではなく、発電効率が落ちた設備は取り替えないといけない。
その場合は、またも多額の設備投資が必要になるだけでなく、不要になった設備の廃棄も大問題になってくる。
 
太陽光発電は、既に半世紀以上の開発期間があり、その歴史には古い。
日本では、シャープ、京セラ、三菱電機、三洋(今のパナソニック)など、トップクラスの企業が牽引してきた産業だ。
しかし逆に言えば、これほどの大企業が半世紀に亘って英知を傾けても、今の程度の完成度とも言える。
しかも、熱源の太陽光そのものが極めて不安定なので、安心できる電力供給源とは到底考えにくい。
現時点で太陽光発電は、屋上に設備している家庭が、「地球環境に貢献しています」とのアピールと自己満足に役立っているに過ぎない。
 
僕は、太陽光発電の将来については、全く悲観的な見方をしている。