映画「戦場にかける橋」の舞台だ。
映画では、苦心惨憺の挙句、日本・イギリスの協力でやっと作り上げた橋が、連合軍によって爆破されたシーンで終わったが、実際には今でも橋も鉄道も健在だ。
この日は午前7時に、現地の旅行会社がホテルに迎えに来た。
ところが今回の参加者は、我々夫婦二人だけ。
期せずして、ガイド付きのプライベート観光になった。
本来はバンコクのホテルを周遊して参加客を集めるはずだが、その時間が短縮されたので、スケジュールが変わった。
予定は帰路の途中で、最後の予定だったナコンバトム寺院を訪問した。
正式にはワット・プラバトムチェディーで、ここは高さ世界一の仏塔と言われる。
エメラルド寺院と一緒の王室寺院だが、最初はもっと低い寺院だったのを、何度か上から被せて背を高くして、最終的にはラマ四世の時代に今の姿になったらしい。
ガイドは我々を寺院入り口の階段まで案内して、後は車で待っているのだが、我々と別れた後、寺院に向かって熱心に祈りをささげていた。
タイ人の大半は、敬虔な仏教徒だ。
ここからメインのカンチャナブリへ向かう。
先ずは、カンチャナブリ戦争博物館へ。
戦争時代に、日本軍の捕虜になったイギリスを中心とした連合軍兵士は、ビルマ、インドへつながる兵站線として、泰緬鉄道、別名「死の鉄道」敷設に従事させられた。
五年はかかる難工事と看做されたこの鉄道建設は、実際はわずか一年半で完成している。
しかし当然ながら、3万人の連合軍捕虜と10万人のアジア人強制労働者にとっては、過酷を極めたもので、この時の待遇の悲惨さが、後の生存戦士の記憶で絵として残されている。
最終目的地のタム・クラセーの駅までは、およそ二時間弱。
一応は指定席で、ドイツ人観光団と同じ車両に乗り合わせとなった。
途中では、タイ人が何度も土産や食料品を売りつけに来る。
最初は一々景色に感激していたが、クウェー河から離れると全くの田舎であり、すぐに退屈する。
この鉄道は典型的な観光路線と思っていたが、一日に三本ほどの運航で時刻表まである。
尤も生活鉄道として利用している人など、恐らくは皆無だろう。
この駅で、旅行会社が契約しているレストランで昼食。
今まで、この手の店で料理が美味かった例はないが、この店だけはソコソコいけた。
午後3時半、ホテルに帰還。
夕食は本格的タイ料理の、タイインへ。
前日のソンブーンは全く分かりにくい場所だったが、この店は親切な人がブログに写真入りの道案内をアップしていたので、簡単に見つかった。
デザートは三日続けて、マンゴーとモチ米セット。
タイ料理は、世界中どこでもハズレがない。