・御年78歳だが40代の体力が自慢で、「神が山根明に与えたチカラ」と称する唯我独尊
・側近で固めた協会の終身名誉会長を名乗り、息子を副会長にする権勢欲
・暴力団との付き合いを隠さず、
・自分の形容詞は「オトコ山根」、「カリスマ山根」、「歴史のオトコ」、そして「無冠の帝王」
・歳の差28歳の「若い」嫁の説得で、会長辞任を決意
・告発した側への反撃を宣言
と、強烈なキャラ丸出しの、滑稽なばかりのパフォーマンスが続いている。
告発したの「日本ボクシングを再興する会」からは、協会内の金の流れの不透明さを指摘されているし、いわゆる「奈良判定」への批判が強い。
「再興する会」の鶴木代表は、「恣意的な勝負の判定は、真面目にボクシングに取り組んできた若者の気持ちを踏みにじるもので、決して許すことが出来ない」と力説していた。
「再興する会」によると、アマチュアボクシング界での奈良判定は、半ば公然の事実と認識されてきたらしい。
岩手国体の、奈良代表対岩手代表の判定は、確かにどんな言い訳も通用しないほどおかしい。
山根元会長に忖度した審判が、明らかに奈良出身選手贔屓の判定を下すとしたら、他の県出身者にとってはたまったものではない。
「やってられない!」とアタマにくる気持ちは、大いに理解できる。
しかし、しかしだ。
敢て僕は、「こんなの、ボクシング界では当たり前じゃないの?」と考えてしまう。
ジャッジが、公平でなければならないことは当然だ。
しかしボクシングだけでなく、判定競技には、常に胡散臭さが付きまとう。
ボクシングでは、アマチュアの世界でもプロの世界でも、「KOしないと、判定では絶対に勝てない」みたいな話が囁かれるのはよくある話だ。
ソウルオリンピックの時の、韓国選手贔屓判定は皆が呆れたほど有名だし、世界チャンピオンを懸けたタイトルマッチでも、度の過ぎたホームタウンデシジョンもしょっちゅうだ。
我々ファンもまた、日本で開催されたタイトルマッチで日本選手に有利は判定が出た時には問題視しないが、アウェイで不利な判定の場合だけは「怪しからん」と騒ぐ。
先だってアメリカで判定でタイトルをとった伊藤雅雪が、最初に公平なジャッジへの感謝を述べたが、逆に見ればそれは珍しい例とも言える。
また山根元会長が暴力団との付き合いを続けたのは、批判されて然るべきだし、是正するべき問題だ。
しかしボクシングと暴力団の関係もまた、昨日今日始まったものではない。
かの島田紳助が、山口組幹部との付き合いが原因で芸能界を引退する羽目に陥った時、山口組側の人間として登場したのが、元世界チャンピオン渡辺二郎だったのも、ボクシングと暴力団の深いつながりを表している。
今回山根明元会長を告発した側は、あたかも正義の担い手のように報道されているが、山根元会長によって彼らの一部で、暴力団との深いつながりがあることも指摘された。
山根元会長を追及した彼等は、今まで一点の曇りもないボクシング人生を歩んできたのかが問われる。
今回の山根元会長告発によって、仮に日本のボクシング界の透明性が増したとしても、世界のボクシング界が旧態依然のままなら、国際試合や海外でのタイトルマッチで、日本選手だけが不利になってしまう。
その世界のボクシング界は、IOCによって問題組織と認定され、オリンピック競技から外される可能性すらある。
そしてその海外組織の幹部連中とサシで話し合えるのは、オトコ山根一人だったとも言われている。
ボクシングは腕一本、拳一つで、名声とカネの両方を手に入れることが出来る、夢のあるスポーツだ。
しかしそのボクシング界には、奇麗ごとだけで問題が解決できない、深い闇の部分がある。
腕に自信がある若者でも、ヤリ手会長のいるジムに所属し、優秀なプロモーターやトレーナーが付かない限り、成功の確率は決して高くはない。
そしてそんな連中が、挙って清廉潔白であるとは限らない。
仮に山根元会長がボクシング界から消え去ったとしても、若者にお勧めできる職場ではない。