昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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年寄りの転倒

年寄りにとって、転倒は致命傷になる。

元気いっぱいだった年寄りが急に老け込む原因の多くが、転倒による。

転倒の原因は、健常な人には信じられないほど些細なことだ。

小さな石ころに躓き、わずかな段差に引っ掛かる。

果ては、畳の縁に足をとられる事すらありうる。

 

僕の義母は、94歳までは誰もが驚くほど矍鑠としていた。

しかし小屋で作業中に誤って転倒し、その後は介護不要とはいかなくなってしまった。

やはり加齢と共に、体中のあらゆる骨が脆くなっている。

転倒によって複雑骨折すると、それまで通りに動き回ることが出来なくなる。

そうすると、一気に年を取ってしまうようだ。

 

今回病院でカテーテル手術をすることになって、事前に様々な質問を受けたが、その中に「最近転倒しましたか?」なる項目があった。

心臓の手術と転倒に何の因果関係があるのか分からないし、転んだなどとは書きたくはなかったが、正直言うと、最近ウォーキング中に派手に転倒したことがある。

 

早朝歩きだしてすぐに、前方に犬を連れた若いオトコを認めた。

その歩くスピードがあまりに遅いのでイラついてしまい、右折のコーナーでインから抜き去ろうと急ぎ足になった瞬間、側溝の出っ張りに躓いてしまった。

瞬間必死にバランスを保とうと努力したが、勢いがついた状態だったので、前方にダイビングのように転倒、顔面を強打し、庇った右手を擦りむいた。

転倒の瞬間は顔から突っ込んだ形だったので、その昔はアラン・ドロンの再来と自称していたダンゴッ鼻のテッペンを擦り剝いて出血しただけでなく、鼻そのものが骨折でもしたかのように痛い。

たまたま眼鏡をしていなかったので、目は無傷だったが、追い越された犬連れのオトコが心配して寄ってくるほどのダメージだった。

 

転倒した本人は、極まりが悪いことこの上ない。

しかし現実には、体を動かすのが不安なので、しばらくの間うつ伏せのまま呻いているしかない。

犬連れが「大丈夫ですか?」と質問するが、答えるのも億劫なので適当に「ウンウン」と言っていると、いつまで経っても立ち去らない。

やむを得ず、何とか座り込んで「OKです」と言ったら、やっと離れていった。

しかし次に歩いて来た人もまた、心配そうに近づいてくる。

一々相手するのも面倒臭いので、とにかく転倒現場を離れることにした。

 

ウォーキングを中止し一旦帰宅、怪我の具合を確認する。

すると右手の肘、手のひらに名誉の負傷、左手は転倒の瞬間の庇い手で手首を痛めている。

しかし顔面は強打したものの、後頭部や側頭部へのダメージがなかったのが不幸中の幸いで、脳震盪の心配はない。

骨折も大丈夫なので、多少は時間はかかるが、傷さえ完治すれば大事には至らずに済みそうだ。

 

思い起こせば僕の父もまた、散歩中に転倒し、身元不明者として病院に担ぎ込まれた。

側溝に側頭部を強打した傷は大したことなく、家族は一安心だったが、転倒の原因を調べると脳腫瘍が見つかってしまった。

父の癌そのものは良性だったが、体力不足から手術が出来ず、結局は三年ほどで逝去した。

 

僕の場合は、転倒の原因は側溝の段差に躓いたためだが、その遠因は、知らず知らずのうちに相撲取りのような、すり足歩行になっていた為だ。

後は、二度と転倒しないように注意しながら、足を高く上げたウォーキングすることと、家の中でも、特に階段の下りには用心が必要だ。

自分の身を守るためには、格好などには構っちゃいられない。

どうやら、杖や手すりも、生活の必需品になりそうだ。

イヤハヤ、歳は取りたくないものだ!