昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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晴れて退院

前日、担当医から「造影剤を完全排出するために、もう一日入院を延ばしたら」との打診があった。
医者によると、先ずはカテーテル検査だけをやり、手術の必要有無を確認した上で、次のタイミングで手術になるのが普通らしい。
しかしそうなると、例の血管破裂とか、あるいは脳梗塞のリスクが倍になる。
検査で血管の詰りが確認されたら、その場で手術に踏み切って欲しいと要請したために、通常よりも大量の造影剤を投入したと説明された。

しかし手術はうまく行ったはずだし、造影剤に関しては、利尿剤の効果も覿面だ。
造影剤の後遺症の症状も皆無だし、何よりも、病院のような陰気な場所とは一刻も早くおさらばしたい。
「絶対にNo!」と断固拒否したら、意外にも簡単に了承した。
病院も装置産業なので、稼働率稼ぎが大事なようだ。

この日、今回の入院で初めて朝食をとったが、これが質実そのもの。
最後の晩餐ならぬ、最初にして最後の朝食だが、内容はパン一切れ、牛乳、小皿のスープ、そしてミカン。
しかし、これを美味いと感じてしまう。

退院が決まった後は、手術費用計算が出るまで、全くやることがない。
看護婦から「まもなく薬準備も終わるので、10時か11時までには退院できるはずです」と言われたが、待てど暮らせどその日の朝分の薬すら来ない。
男性看護士が10時過ぎにやっと来たかと思いきや、「今準備していますので、まもなくですが、ところで薬手帳は?」とか、まるで蕎麦屋の出前みたいな調子で喋る。
思わず「まだ準備中なの?」と声を荒げると、「すみません、急ぎます」と言い訳したが、実際に薬が到着したのは11時チョイ前。
朝食後服用の薬が、昼前になって届けられる。
大病院とは言え、事務作業なんてこんなものだ。
午前11時、全ての手続きが終わり、晴れて退院となった。

昼食は、夫婦揃って行きつけの蕎麦屋へ。
世界で一番美味い蕎麦と思っているこの店で、注文するのはいつも決まって「三枚蕎麦」。
席に着くだけで、女将が「いつものですね」と確認するほどの常連サンだが、この日の蕎麦はいつにも増して美味かった。
蕎麦を完食して、娑婆に戻ってきたと実感!
やはり健康に勝るものはない。

手術後は、更に薬の種類と量が更に増える。
しかし体内にステントと言う異物を入れている以上、血液の流動性はマストらしいので、投薬は退院後の一番の課題になる。
ボケかかっている老人にとって、9種類にもなる薬の管理は大変だが、これもまた生き延びるための試練だ。