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百田尚樹の「日本国紀」感想文

久しぶりに本屋に立ち寄ると、百田尚樹の「日本国紀」に「50万部突破」の帯がついていた。
そもそも販売開始前から、アマゾン予約だけで販売ナンバーワンになったほどだったし、誰も読んでいないはずなのに、五つ星評価が乱立したのが評判になっていた本だ。
百田尚樹の人気の高さと、彼の作品への期待感がそうさせるのだろうが、読んでもいないのに五つ星評価は、やはりやり過ぎだ。
 
僕はいつものことだが、初版本を入手した。
元々は、かなり右翼的意見の持ち主の作家、百田尚樹が、満を持して書き上げたとのうたい文句だったし、「日本を取り戻す」と意気込んだ出版だった。
更に、人気絶頂だった時の小池百合子東京都知事を、理路整然と木っ端みじんに批判した有本香が監修した本なので、今までの歴史観を根底から覆す新しい見識が示されると期待していた。
序文で、「日本ほど素晴らしい歴史を持っている国はない」と書き出しているが、しかし、内容はほとんどの人がが今まで知っている知識の羅列でしかない。
百田尚樹の作品のほとんどを読んでいる僕には、大いに肩透かし感があり、読後の正直な感想は、「この本は大したことはない」と批判的だ。
百田尚樹のアンチファンは、「ウィキペディアのコピー」と悪口を言っていたので、結果的には、全く不本意だが、僕も同調することになってしまった。
 
その分、読むのは楽だ。
今回、比較対象の為に西尾幹二の大力作、「国民の歴史」も合わせて購入し読み比べてみたが、読書スピードがまるで違う。
百田尚樹の「日本国紀」は、漫画でも読んでいるかのごとく、実にスラスラと読み進んでいくことが出来る。
この本では、一貫して日本人の真面目さや誠実さを力説しているが、百田尚樹が最も力を注いでいるのは、大東亜戦争突入の原因究明と、その後の戦後体制の部分だ。
逆に言うと、百田尚樹はこの時代の歴史観、自己主張を書きたくて、この本を上程したのではと思ってしまう。
勿論この部分は、GHQや日教組の進めた教育内容とはまるで違っている。
サヨク側からは、この本に対して反対運動が起きていたと聞くのも、日頃の百田尚樹歴史観、とりわけ近代の歴史観への反発からだ。
 
僕はサヨクではないが、この本に関しては、敢てサヨク側が反対運動を起こすまでもないと思う。
サヨクが嫌い、恐れているのは、この本を読んで、今まで彼らが主張してきた「日本の戦争責任」を蔑ろにする人間が増える、言い換えれば日本国民が右翼化することだろう。
しかし今回の「日本国紀」に書かれている程度の知識なら、右ヨリの人間にとって目新しいモノはない。
また、新たに百田史観に同調する人が増えるほどの内容とも思えない。
サヨク側の人間たちは、いつものことながら幼稚な対応に終始していて、色々百田作品にイチャモンをつけているが、そんなことで話題にするよりも、無視するのが一番の方法だろう。
 
尤も僕は、百田尚樹歴史観には賛同する部分も多い。
戦後の自虐史観からの脱却は必須だし、日本を陥れるマスコミやコメンテータ連中は、国家にとって獅子身中の虫と確信している。
中国、韓国、北朝鮮三国とは、話し合いや経済支援、協力などは百害あって一利なしと思っている。
だから百田尚樹の「日本国紀」は評価しないが、彼の政治活動は応援する積りだ。