昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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プロゴルファー悲話

僕のホームコースに、あるメンバーが体格の良い若者を連れてきた。
「娘婿のプロゴルファーで、昨年の賞金順位七十数位。もう一息だった」と紹介していた。
後ろの組で見ていたが、さすがに現役のツァープロなので球筋が違う。
恐らくドライバーは、コンスタントに300ヤード近い距離が出ているに違いない。
ギャラリーが彼の一打一打に歓声や溜息を送り続けるものだから、彼はすっかり上機嫌。
ティーグラウンドでツァーの苦労話などを話してくれたが、彼らの世界ではドライバーをいくら飛ばしても駄目で、要は、パットが決まるかどうかが勝負らしい。
さすがに現役の発言は重い。
あまりゴルフの上手くない彼の義父が、彼に成り代わって胸を張って、「今年こそシード権を取る」と宣言していた。

「袖触り合うも多生の縁」で、彼を応援したいが、実はシード権をとるのは至難の業らしい。
先ず、今年の出場可能試合が限定されている。
彼はどうやら10試合ほどは出場できるらしいが、その中でかなりの上位に食い込まないと今年も駄目になってしまう。
生活が苦しいのでゴルフレッスンで金を稼ぐと、その瞬間にトーナメントの辛さに耐えられなくなってしまうとも言っていた。
とにかく、ストイックにゴルフ道に邁進し切磋琢磨した中から、わずか60人だけがシード権を獲得し、トーナメントプロゴルファーとして世間から認められた存在となる。
彼は既に30歳近い年齢だが、未だ一度としてシード権を獲得した事はない。
何とも厳しい世界だ。

またテレビのレギュラー番組を持つと、楽して収入がある為ハングリー精神がなくなり、トーナメントで活躍する事もなくなるらしい。
そう言えば、一時期大活躍していた金子柱憲や、芹沢信雄も、今やサッパリ組となっている。
東尾理子に至っては、聞くのも恥ずかしいようなスコアで予選落ちを繰り返している。

ゴルフみたいに楽しいスポーツで金を稼げるなんて羨ましい、と思っているととんでもない間違いで、実は仕事としてのゴルフは辛い辛い、ストレスがかかりっ放しの競技らしい。
我々は、たった100円のチョコレートでもビビってしまうのだが、プロトーナメントの場合は、一打が何百万円とか、来年一年間のシード権とかがかかってくるので、我々の精神力では、恐らく耐える事の出来ないほどのプレッシャーとの戦いのようだ。

ゴルフは趣味で騒いでいる程度が一番と、改めて感じた一日だった。