薬害肝炎を実名で告発した福田衣里子さんが、次期衆院選長崎２区に民主党から立候補するらしい。
民主党にとっては、元失言防衛大臣久間章生への刺客になり、出馬会見に小沢一郎代表が同席するほどの力の入れようだ。
福田さんの会見を聞くと、出馬を決めたのは、「自らに何の落ち度もなないにも拘らず、薬害によって日々の命を削られてきた被害者の怒り」からであり、また「同じ苦しみを味わい続けているほかの人達を救いたい」との思いらしい。
今の事故米騒動を見て分かるように、儲かる為だったら何だってやりかねない連中がゴロゴロ蠢いているのが現実なので、彼女が味わった災厄が二度と起きないように、徹底的に悪漢どもの行状を炙り出して欲しいし、彼女にとってそれが政治の場だと確信したのであれば、堂々と立候補して賛同者を募るべきなので、何ら出馬自体に反対するものではない。
自分に投票権があれば「福田衣里子」に一票を投じたいほどだ。
しかし敢て言うが、「民主党からの立候補」は考え直した方が良い。
彼女の立候補は打算によるものではないようだが、民主党の立候補要請は打算そのものだからだ。
民主党にとっての彼女の存在意義は、「自民党の久間章生に勝てるかもしれない候補者」だけであり、薬害肝炎問題はその為の手段でしかない。
薬害エイズで同じような苦しみを味わい、先に立候補し当選した二人の代議士がいる。
一人は民主党に所属しているが、その後民主党にあって薬害エイズ問題が大きく扱われているようには見えない。
別に民主党だけではなく、政党に所属する議員は自分のライフワークだけを追求するわけにはいかない。
政党に所属した途端にその政党の論理に縛られてしまう。
その昔社民党から立候補し、途中で議員を投げ出した田嶋陽子なるアンポンタンがいたが、彼女ですら社民党を離脱した時には無責任だとの大ブーイングを浴びた。
政党に所属すると大いに庇護を受けるが、その反面大いに自由が喪失する。
彼女は、「今の一部の企業の為の政治、官僚の為の政治、政治家の為の政治から、国民の為の政治を取り戻す」と、自民党から民主党への政権交代の必要性を訴えている。
しかし、彼女の夢と希望をぶち壊すようだが、民主党になれば国民の為の政治が実現すると思っているのなら、その見通しは大変甘い。
次回の選挙で例え民主党が勝っても、劇的な変化などあり得ない。
それは既に、１９９３年の細川政権で実証済みだ。
彼女が、薬害問題を起こした官僚を含む政治構造を抜本的に変えたいのなら、既存権益と一切の柵がない共産党からの立候補しか方法はない。
しかし、中国を見れば明らかのように、日本共産党もまた、全く情報公開されていない闇の部分が数多く存在、得体のしれない恐ろしさを併せ持っている政党である。
福田衣里子さん
老婆心ながら、政党に幻想を持つのはおやめなさい。
民主党で首尾よく当選しても、単なる一年生議員として使い捨てされるのが落ちですよ。
薬害肝炎問題を政治での解決を目指すのなら、政党に拘らない草の根運動で自分の意見に賛同してくれる人を募るしかないと思いますが。
