昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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自動車産業凋落と世界不況

自動車が売れない。
おかげで鉄鋼バブルまではじけてしまい、もはや下がる事がないとも思われていた鉄鋼価格まで下がり始めた。
中国やインドで需要が急増、あらゆる素材を吸収するので価格が上がりっ放しのはずだったが、アメリカのサブプライムローンの破綻に始まり、北京オリンピックと共に世界的好景気が終焉を迎えたことになる。
そして、文字通り世界景気の牽引車だった自動車産業も不振を極めている。
トヨタニッサン、小型車のスズキが大幅減産を決定しているが、日本車はまだいい方。
アメリカそのものとまで賞賛されてきたビッグスリーの凋落は目を覆うばかりだ。
昨年まで世界一のメーカーだったGMは株価が暴落し、もはやアメリカ政府の支援なしでは会社倒産を避けられない。
フォードやクライスラーも似たり寄ったりで、もはやビッグでも何でもなく単なるアメリカの自動車製造メーカー三社でしかないと酷評されている。
また首脳陣も、政府支援要請の公聴会に自家用ジェットで乗り付け顰蹙を買っている。
安全上の理由で自家用ジェット使用が規則らしいが、それならせめて自社の車を使用すべきだったのだろう。

昔は、「鉄は国家なり」だった。
つい数年前までは、「車は国家なり」と言われた。
なぜ自動車産業は急速に凋落したかの答えは実は簡単で、「車が売れなくなったから」だ。
車ほど便利な乗り物はない。
自分の乗りたい場所から行きたい所まで、実に無駄なく運んでくれる。
昔は高価な品物だったが、大量生産方式を編み出し、どんどんモータリゼーションが進み、ほとんどの家庭が車を所持している。
アメリカに至っては一家に二台三台が当たり前、車なしでは生活できない。
しかし、冷静に考えれば車はそんなに必要ではない。
少なくとも、世界中で毎年6千万台も作る必要はさらさらない。
今の車は、一度買えば、少なくとも15年は持ちこたえるだけの性能を持っている。
それを、数年に一度モデルチェンジを行い、あたら購買意識を刺激する必要もない。

今年になって原油価格が急騰した時、誰もが石油が有限な資源である事を理解し、自動車に背を向けた。
その結果が、世界中で車の販売が激減した原因となっている。
もはや不必要な車が売れる事はないだろう。
トヨタは、四分の一に減ってもなお今期の利益見込みは6千億円。
しかし、今からはこんなに儲かる事自体がおかしいと思った方がよい。