昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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最近の総合商社、○井物産

ある取引先が訪ねてきた。
最近、○井物産から取引停止を通告されたらしい。

別段、その取引先に与信不安があるわけではない。
担当者の説明によると、「○井物産は口銭商売から撤退する。○井物産としての機能(ファンクション)を発揮できる分野に特化する」、続けて、「このような商売は将来性がありませんから」とまで言い募ったとの事。
彼は、「自分の会社は長い事○井物産にお世話になってきたので、そこまで言うかと寂しい気持ちになりました」と話していた。

要は、「ボロ儲けが出来るエネルギー分野に人も含め経営資源を集中投下するので、世知辛いテラ銭商売などやってられない」と言いたいらしい。
確かに、今の○井物産の利益の70%はエネルギー関連とも言われている。
また、原油を例にとれば、油を掘っている産油国が一番儲かり、次に世界規模で原油を取り扱うメジャー、だんだん加工が進むほどに利益が少なくなり、ガソリンスタンドなどは経営不振に陥っているケースも多い。
だから、余計な手間暇をかけるよりも、産油国に近い所で大儲けを考えるのも効率の面からは分からないでもない。

しかし、それでいいのか○井物産!
○井物産は、単なる総合商社ではない。
扱っている商品の幅広さ、多士済々の人材の豊富さでは日本屈指の大企業であり、様々な産業を側面支援する事で日本そのものを豊かな国にする事も大きな使命のはずだ。
今風に言えば、儲かればいいのではなく、日本経済の活性化や底上げも○井物産のCSRだろう。

世界中のビジネス社会で鍛えられた○井物産の人材は、日本全体にとっても重要な存在だ。
そのような若い人材が、日夜眠れないような苦労しながらも実質的には日本経済の底辺を支えている日本の中小企業の経営者に触れ合い啓発される事は、日本経済界の将来の素晴らしい指導者育成にどれほど役立ってきたか分からない。
○井物産は、自らそのような人材育成と日本経済全体の底上げの使命を捨て去り、この一瞬の利益最大化だけを目指す積りらしい。

この方針の顛末は、今日明日で判断できるものではない。
おそらく、10年後か20年後に、「あの時のあの決断が」と評価される。
しかし、そんな浅はかな決断をした経営人は、その時には誰一人残ってはいない。
天下の○井物産には、ただひたすら刹那的金儲けに突き進むしか道がないのだろうか。