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パター、パッティング

ドライバーから始まるゴルフのショットの中でも、最も体力を使わないのがパッティングなのは異論を待たない。
スタイルは十人十色だが、全力を振り絞ってパターをする人はいない。
しかし、「精神一到何事かならざらん」と全神経を研ぎ澄ませているので、結構くたびれる。
お遊びゴルフでは、短いパターには気前良く「OK」を出す。
半ばエチケットのようになっているが、もしも完全ホールアウトとなると疲労感がまるで違ってくる。
すると後半になるに従いパター用の精神的スタミナが切れてしまい、短いパターでも決まらなくなる。

Driver is show. Putting is money.
言い古された言葉だが、プロゴルファーにとっては、パターの巧拙が稼ぎに直結している(らしい)。
最近では、プライベートゴルフでは、ほぼオリンピックゲームは定番となっている。
某超大手商社では、コンペの馬券は全面禁止だが、パターのオリンピックは規制の対象外らしい。
不特定多数を巻き込む馬券に比べ、オリンピックは同じ組の4人に限定された遊びなので自己責任の範囲と認定しているようだ。
但し「コースでもクラブハウスでも、事の顛末、結末を大声で話してはいけません」との注釈付らしいが。
このオリンピックでは、素人はわずかのチョコレートでも緊張してダフったりする。
プロのトーナメントで、「これが決まれば優勝賞金2千万円」とか「来年一年のシード権が決まる」パターとなれば、腕が動かなくなるのも分かるような気がする。

当方、記録に残っているだけでも、66本のパターを購入している。
残っているのは20本くらいで、その大半はコレクション用を兼ねている。
もちろんコースで使用するのは一本だけなので、残りはエース昇格や一軍入りを期待しつつも、保管用キャディバッグで埃を被っている事になる。
何せご主人様が気紛れなので、ライバルが増えるほどに活躍の場が失われる。
一度しか使われずに、二度と陽の目を見ないパターも多数あり、江戸時代の大奥で上様のお声掛りを待ち焦がれる側室や奥女中にも似たものがある。
我が家のパターは、生存競争が激しい。

最初に2万円で購入したハーフセットのパターは、単にパターの格好をしているだけの、見るからに安物で、当たり前に全く入らない。(尤も、この時は腕前もひどいものだったが)
そこで輸入クラブセールス中のデパートで初めて買ったのが、その名も「Magic Tauch」。
ウィルソン社製に良く似たパターで、5年ほど使用した。
当時のゴルフショットは、バナナスライスボールの連発で超下手糞だったが、パターだけは、コンペで「貴方はハンディ36のパターではない」と褒められたりして、結構自信があった。
「やはりゴルフは道具!舶来品Made In USAは違う」と密かにほくそえんでいた(実際にソール部分にその刻印があった)。
が、ある日ある時、繁々とパターを見ると、どうにもアメリカ製にしてはTouchの綴りが違う。
途端に嫌気が差してしまい、すぐに当時全盛だったトムワトソン使用のピンパター(PAL)に変更。
これは10年使い続けた。
ここまでは、浮気癖もなく、ひたすら一本のパターを使い続ける模範的ゴルファーだったが、ネットオークションに目覚めたのが運の尽き。
安田春雄が使っていたアクシネットや、クラシックピンアンサーを買い漁り、同時にベストセラーパターには必ず手を出すようになってしまった。
気がつけば、不要不急のパターがゴロゴロ状態で、それに従いパターの腕前も落ちてしまった。

統計的に見れば、しょっちゅうパターを変えている人は、総じて下手(片山晋呉は例外)。
しかしデビュー以来サイレントポン一本槍だった青木功ですら、マレットパターに変えている。
世界を唸らせたパターの名手も、最後は正妻から離れた。
最後の最後まで8802を使い続けたベン・クレンショーは、例外中の例外。
我々は、パターさえ変われば、必ず効果があるものと信じているし、そのほうが楽しい。