昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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大連の二日目はゴルフ

件の顧客と商社マン二人と、大連金石ゴルフ場に出かける。
大連のホテルから車で1時間。
生憎、朝から霧が立ち込めている。
ゴルフ場に近づくにつれ、ドンドン霧が濃くなっている。
このコースは、海沿いに立地していると聞くが、全く海が見えない。

到着後すぐにティーオフ。
キャディは、一人だけ片言の日本語を喋るが、後は日本語も英語も理解できず、質問してもチンプンカンプンな答えしか返ってこない。
肝心の、距離の数字すら怪しい。
ドライバーで狙う方向を聞くと、「真ん中」を指差す。
しかしコース全体が薄っすらとしか見えないので、全く狙いが定まらない。
ヤケッパチで振り回すと、四人のキャディが日本語で「スバラシイ!」と声を揃える。
どうやらお世辞だけは、しっかり教えられているようだ。

晴れてさえいれば絶景が続くらしいが、この日は辺り一面が霧。
まさに五里霧中なので、ひたすらボールを捜すことに集中せざるを得ない。
それが却って良かったのか、結構良い当りが続く。
強烈なアゲ風の中、残り170ヤード左右OB、海に向かって放つユーティリティクラブのショットが、奇跡的にグリーンを捉えると、またも四人のキャディが「スバラシイ!」と連呼する。
調子に乗った次のパー5、上り坂からの二打目の狙いが分からない。
キャディに聞くと、またも「真ん中」。
しかしスプーンのショットが、少しフックしたなと思ったら、フォアキャディが丸く輪を作ってOBと知らせる。
仕方なく暫定球を打つと、これもまたOB。
ボールがなくなったが、肝心のキャディバッグは遥か先にいる。
やっとそこまで追いつくと、左サイドはOBではなく、1ペナゾーンと説明する。
「お前、OBのマークをしたじゃないか」と言っても、「日本語分からなァい」なので如何ともし難い。
同伴諸氏の「ジャ、ここから四打目で」の助け舟に乗って、次のアイアンは少しグリーン左かなと思っても、今度はボールが見つからない。
やむを得ずロスト扱いだが、次のショットでシャンク発生。
11打もかかって、ヤットコサでホールアウト。
このホールが祟って、午前中は12オーバーの48。

小一時間の昼休みの後、午後のスタート時間には、益々霧が深くなった。
最早100ヤード先も見えない。
とにかく真ん中を狙って打つしかないのだが、この方が妙な色気もないので結果オーライに繋がる。
この辺は、如何にも素人ゴルフの典型だ。
午後のパー5は、二打目地点に行ってみると、景色が見えていたら怖くて打てないほど、トリッキーなレイアウトになっていた。
しかしこっちは、何も見えていないし、キャディのアドバイスも何を注意しているのか分からない。
将に「メ○ラ、蛇に怖じず」状態なので、結果的にフェアウェイど真ん中から、ほぼ2オン。
バーディーパットが決まると、当方担当のキャディが小躍りして喜ぶ。
最終ホールのパー5も同じ状況で、ドライバーが「スバラシイ!」、二打目も「スバラシイ!」アプローチも「スバラシイ!」で、またもバーディー。
キャディは「2バーディー、2バーディー」と、まるで自分のことのように大喜びしている。
こっちも気分が良くなった。

ところがホールアウト後キャディにチップを渡す時に、彼女が喜んでいた訳を知ることになった。
実は前日、顧客から「キャディに渡すチップは一人100元」と言われていた。
ずいぶんと高いなとは思ったが、マァ中国はそんなものかと納得していた。
しかし当方担当のキャディに100元を渡しても。「2バーディー、2バーディー」と連呼して纏わりついて離れない。
「コイツ、僕のバーディーじゃなく、チップを貰うネタが出来たことを喜んでいたんだ」と分かったが、断るのも面倒くさいので、200元と小銭を渡して追いやった。
ところがこれを見ていた他のキャディも、自分の担当プレイヤーに「2バーディー」を連呼して集り始める。
同行諸氏にとっては、握りは負けるし、キャディには集られるしで、踏んだり蹴ったり。
煩そうに「あっちへ行け」と追い払ったが、チップの増額に失敗したキャディたちは、不満そうな表情を満面に浮かべて立ち去って行った。

発展途上国では、キャディたちは露骨にチップを要求してくる。
今や世界第二の経済大国になった中国でも、まだまだゴルフは発展途上国並みだ。
そんなことを実感したゴルフだった。