昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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チューリッヒからツェルマットへ

チューリッヒ滞在は三日間。
物価高には参ったが、それなりに充実した旅の始まりだと満足感に浸りながら、次の目的地ツェルマットへ移動開始。

ツェルマットは、日本人が富士山に続いて大好きな山、マッターホルンの麓町だ。
移動手段は、これまた有名な氷河鉄道。
一年中満席で、しかもファーストクラスから埋まっていく。
世界一遅い特急だが、実際に車窓から見える景色の素晴らしさに感激仕切りだ。
客車は三両で、生意気にも食堂車付き。
氷河鉄道の雰囲気は、上品さと高級感で溢れている。
車掌と言うよりもCAに近いオバサンが、昼食のオーダーを聞いて回る。
実はそれまでの列車移動と同じ感覚で、キオスクでパンを買い込んで乗車したが、さすがにこの列車で開陳するのは憚られた。
やむなく、43フランのコースを注文。
しかし、高がサンドウィッチ一つで10フランもする国なので、むしろ「安ッ!」と感じてしまう。

氷河鉄道全工程の三分の二ほど進んでところで、大事件が発生。
妻が、「パスポートがない」と言い出した。
ホテルに置き忘れてきたらしい。
今更引き返せないし、進退窮まる。
慌ててホテルに電話したら、フロントで預かっていることが判明。
続いて回収方法を検討したが、氷河鉄道を利用してツェルマットからチューリッヒまでは、乗換えと待ち時間まで含めれば、8時間はかかる。
しかしパスポートなしでは、旅を続けられないので、やむを得ずスケジュールを大幅に変更し、この日一日はツェルマットに滞在し、翌日一旦チューリッヒに戻ることにした。

ツェルマットのホテルで、列車を予約しようとインターネットを開けたら、氷河鉄道では時間がかかるが、普通の特急ならチューリッヒまで3時間半でいけることが判明した。
それなら一日で、ツェルマットまで戻ってくることが可能だ。
ホテルのキャンセルフィーも不要になるし、何よりもスケジュール変更がわずか一日分で済む。
今回の旅行直前に入手した、ノート型パソコンが活躍する。
早速列車を手配し、心穏やかに夕食の場所を探す。

改めてツェルマットを歩いてみると、この小さな町に日本人が溢れていることに気がつく。
妙高市とは姉妹都市らしく、日本料理店「レストラン妙高」もある。
我々夫婦と同年輩の老人夫婦が街中を散歩しているし、添乗員に引率された団体客が、興奮しながらホテルを目指している。
そんな街中で、日本語で書かれた「味噌ラーメン」の看板を発見。
早速試してみた。
典型的なスイス人の顔をしたネーチャンが、味噌ラーメンの内容を説明してくれるのには違和感があるが、出てきたラーメンは赤味噌スープに、硬い豆腐、人参、きゅうりまで入っている。
肝心の味は、濃い目のインスタントラーメンみたいだが、異国の、しかもこんな山奥なので許容範囲とする。
どうしても許せないのは、ここでも価格。
手持ちのスイスフランが減ってきたので、わずか32フランをカードで支払う。
するとレシートに、日本円換算3776円と書かれている。
大袈裟に言えば、高がインスタントラーメンなのに、一人当たり2千円弱。

物価が高いと言われるロンドンでも、パリでも、はたまたニューヨークでも、勿論日本でも、こんなに高いラーメンは食べたことがない。
スイス、恐るべし!