僕が仕事の現役時代には、亭主がいない昼間は暇なので、たまに友人たちとゴルフプレイに出掛けていたらしいが、コーチはいないし我流スウィングなのでスコアがまとまらない。
その内に、数少ないゴルフ仲間の友人が海外に引っ越したので、それっきりご無沙汰となったようだ。
そんな中、僕が三年前にリタイアして、ずっと家にいるようになった。
一日中顔を突き合わせていると、些細なことでもいざこざになりやすい。
そんな時は、共通の趣味を持つに限る。
そこで夫婦揃って、我が家から一番近い河川敷コースのメンバーとなった。
このコースはメンバーに優しく、常にツーサムプレイが可能なので、未だゴルフ初心者レベルの家人にとっては、誰に遠慮もなしで実戦練習が出来る。
明らかなミスショットの後でも、マリガンで打ち直す。
無論正式にはルール違反だが、後ろの組に迷惑をかけないことを必ず確認した上なので、大目に見ることにしている。
この辺もまた、夫婦円満ゴルフの秘訣だ。
ゴルファーたるもの、少しずつ腕を上げていくと、今度はクラブを代えたくなるものだ。
家人も例外ではない。
当初は、古いタイプのクラブで満足していたが、
・やれドライバーの飛距離が欲しい
・ユーティリティクラブがあれば、フェアウェイで楽なショットが出来ると思う
・振りやすいアイアンがあれば、もっとスコアが良くなる
と、あれこれ注文が増えてきた。
パターはゴルフを始めて以来ピンアンサーだったが、僕のコレクションだった青木功マレットタイプを気に入り、「ちょっと拝借」と言う名目で取り上げられた。
僕自身、この辺の気持ちはよくわかる。
またこんな気持ちになるのも、ゴルフに手応えを感じているからだろう。
また最近では、オークションを利用すれば、かなりの掘り出し物を入手できる。
という訳で、ドライバーはゼクシオ、ユーティリティはキャスコのパワートルネード、そしてアイアンは、僕が使っているのと全く同じバージョンのオノフを買い揃えた。
全く不思議なことに、家人はゴルフクラブに関しては、費用も含めて全部夫の担当と思い込んいる。
マァ、クラブでスコアが良くなるならば、少々の出費は惜しくない。
家人は来週、友人とのラウンドを予定している。
そこで新たに入手したアイアンとユーティリティに慣れるため、珍しく夫婦でコースに隣接する打ちっぱなし練習場に出掛けた。
ついでにカメラを持ち込み、連続写真でスウィングをチェックする。
実は家人は、飛ばしたい気持ちが強く、「く」の字に体がスウェイする悪癖がある。
実際に写真で指摘して矯正すると、格段にショットが安定してきた。
また初めて使うアイアンもユーティリティも、以前のクラブよりも安定している。
これなら実戦でも使えそうだし、慣れてくればスウィングスピードももう少しは上がりそうだ。
家のことについては何も分からず、全部家人に任せっきりなので頭が上がらない。
しかし僕は、ゴルフに関しては45年以上のキャリアがある。
素人同然の家人をレッスンする程度の経験は、充分に積み上げてきた。
当面の目標は、家人のハーフ50切り。
これが達成されれば、次はラウンド100切り。
これはゴルフを始めたころの僕の夢だったが、歴史は繰り返す。
45年の時間を経て、今度は夫婦共通の課題になった。