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王子製紙TOB断念

日本で始めての超大型TOBだったので大変な関心を呼んだが、王子製紙による北越製紙へのTOBは、どうやら失敗に終わった。
敵対的買収との言葉の響きが日本社会に馴染みがなかったので、どうも仕掛けた側の王子製紙の評判が悪い。

「王子は調子に乗っている」
「他の会社を金が支配しようなんて厚かましい」
北越の社員の協力が得られないような買収が上手く行くはずがない」
等々。

しかし海外からは、発表前に一切裏工作をせず、正々堂々とTOBを仕掛けた王子製紙への評価は高い。
仕掛けられた北越製紙が、後出しジャンケンのような対策を発表したり、三菱商事が王子への説明責任を果たさず北越の株を持ち続けたり、最悪なのは王子のライバル日本製紙が談合体質丸出しの白馬の騎士を演じたりで、グローバル時代にも拘わらずいかにも日本の旧態依然とした対応と思われている。

王子は、ライバルを金で買う極悪企業のような印象をもたれているが、本来の主張は、国際競争力を持つ企業を作らないと、中長期的に見れば会社は生き延びる事が出来ないし、王子、北越両社の会社員も不幸になるとの国際的ビジョンに基づいている。
一方、北越を中心としたグループは、育ちも文化も違う会社同士の合併は上手くいかないとの考えであり、あくまで日本の中でどう生きていくかがベースにある。

バブル全盛時代、日本企業の多くは当時の通産省の指導下、徹底的な談合体質での生き残りを模索していたが、同じ時期に諸外国ではあらゆる分野で合併や吸収によって、国際的大企業を生みだしていた。
そしてこの時を契機として、日本では国際競争力のない企業が大半になってしまった。
例外は、自動車産業やIT企業であり、彼らは全く談合体質の正反対にいた企業群である。
談合は、結果として企業の活性をそぎ、後ろ向きの文化を作り出してしまう。

国際的には王子の姿勢への理解者が多いのだが、残念ながら日本では王子の高邁な理念への反発が強く、談合体質そのものの北越日本製紙の方が同情を買っている。
多くの日本の会社経営は、国際的資本主義には程遠い事を痛感したTOB騒動だった。