昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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天下の嫌われ者、国家公務員はつらいよ!

今回の国家公務員改革法案の行方が注目されているが、世論ではこの制度改革には好意的意見が多い。
今のところ、安倍首相から突破口と指名された渡辺喜美行政改革担当大臣のオッチョコチョイ的頑張りが目立つが、霞が関官僚と自民党の抵抗が予想以上に無茶苦茶に強い。
参議院選挙の争点になりそうなので、安倍首相が抵抗勢力によって腰砕けになり、自民党との間で玉虫色で政治決着するのではと懸念されている。
今後の進展は予断を許さない。

しかし、僕には、この国家公務員制度改正を支持する側の深層心理は、国家公務員への嫉妬やっかみではないだろうかと思えてならない。
確かに一般的な国家公務員のイメージは、「親方日の丸で、給料は安定し、さっぱり働かない」となっている。
退職後は恩給年金に恵まれ、老後の心配も少ない。
ましてや、上級国家公務員ともなれば、天下りを繰り返し、その度に退職金を頂戴し、全く我々の税金の無駄遣いの権化。
要するに、良いイメージは皆無。
税金を無駄使いする寄生虫のように見られている。
公務員の中にはそのようにいわれても仕方のない連中がたくさん存在する。
かつて、全国津々浦々の公務員が、勤務時間中にフラフラと庁内で遊んでいる姿を隠し撮りした週刊新潮の特集があったが、どうみても真面目な勤務態度とは思えないものばかりだった。

しかし一方では、霞が関の上級官僚達にとっては、表面的に目立っている政治家などは単なる傀儡でしかなく、日本国を実際に動かしているのは自分たちだとの強烈なプライドがあるはずだ。
彼等は、最難関の国家公務員試験を超優秀な成績で合格し、各省庁にたった一つしかない次官の椅子を巡って、同僚間で激しい競争を展開し、それこそ寝る間も惜しんで働いている。
彼等の最大のモチベーションは、「天下国家の為」だろうが、心の片隅には「万一、次官になれなくても天下りで良い待遇が約束されている」事もちらついていると推察される。
でなければ、民間のエリート社員に比べ、決して高くはない給料で、あんな過酷な業務をこなせるはずがない。

そんな彼等にしてみれば、ある日突然、「国家公務員の天下りを禁止する」と言われれば、「約束が違う」と反撥したくなるだろう。
彼等の本音は、最近のマスコミキャンペーンで「官僚どもの実質生涯給料数億円はケシカラン」と言われても、自分達の能力や、滅私奉公的な働きから見れば、その程度は当然の報酬であり、「民間企業の社長連中はもっと貰っているではないか。我々は民間連中よりたくさん働いている」と文句の一つも言いたい所だろう。

しかし、残念ながら国民大衆の多くは、国家公務員は恵まれ過ぎとやっかんでおり、彼等の特権が剥奪される事には冷淡だ。
マスコミを始めとして、特権階級の足を引っ張るには大好き連中が圧倒的で、エリート国家公務員が困るのは嬉しくてたまらない事なのだ。
よって、いくら国家公務員が必死になって自分達の国家への貢献を主張しても、「欲深の抵抗勢力め!」と反撥されるのが落ちだ。

僕は、優秀なエリート国家公務員、官僚連中に密かに同情している。
彼等が「天下り禁止となったらもう働かないぞ」と凄むと、全ての国家実務が停滞し、実は我々は大変困ってしまう。
しかし、誰もそんな事を想像だにしていない。
優秀な国家公務員がいなくなった時、初めて我々は「国家公務員は世間の嫌われ者だったが、一部は重要な存在だったなぁ」と分かるが、時既に遅し、とならなければ良いが……。