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安倍首相の参議院選挙結果責任の取り方

参議院選挙は、安倍首相にとって、予想以上に、というか、予想も出来ないほどの惨敗だった。
自民党の獲得議席わずか37議席は、あの宇野宗佑の1989年の敗北とほぼ同数。その宇野政権が、わずか69日間の短命で終わったことを思えば、今回の結果がいかに安倍政権に厳しいかが分かる。

しかし、安倍首相は続投を表明した。

昨日の選挙結果報道を見ていて気がついたが、安倍は質問にキチンと正対した回答をしない。
筑紫哲也が、「今回の結果は、民意の安部政権への不信任と取るべきでは」と質問しても、「反省すべきは反省し、今進めている改革、美しい国造りを継続する事が私の使命」と、回答をはぐらかす。
要は、どんな選挙結果が出ても辞める気がないのだ。
では、「内閣改造は?」と問われると、「考える」と答えている。
どうも、「厳しい結果については厳粛真摯に受け止めるが、自分の改革路線は否定されていない。悪かったのはスキャンダルを引き起こした閣僚達」と思っているようだ。
自民党内部も、あまりの敗北ぶりに内部抗争のエネルギーすら喪失したらしく、むしろ挙党一致を叫んでいる。

しかし、ここまで議席数を落とすと、まさに挙党一致を計らねばならず、その為には派閥バランス内閣とならざるを得ない。
そうであれば、安倍がすがっている「小泉―安倍と続いた改革路線」そのものが空中分解する事になる。
安倍は、自分の国造りに賛成の大臣だけを選び、内閣を作ったはずだ。
それを「お友達内閣」と批判する勢力もいたが、自分が一本釣りで選んだからこそ、あれだけ失態を重ねた各大臣をかばい続けた。
とりわけ、最後の最後で醜態を繰り返し、自民党大敗の戦犯が間違いない赤城農相ですら罷免しなかった。(たしか、赤城は共に美しい国造りを共有する事が任命の理由だった。)

また安倍は、「こんなに議席が減れば、国会運営が滞るのでは?」と聞かれると、「改めるところは改めて、野党の協力を得ながら運営する」と答えていた。
野党と自民党抵抗勢力の協力を得ながら、美しい国造りを進めるとはどういうことなのだろうか?

そもそも、選挙結果はその時のムードに影響される側面は否定できない。
先の衆議院選挙では、郵政民営化だけが焦点となり、小泉自民党が歴史的大勝を果たし、その流れで安部政権が出来た。
しかし、わずか一年後の、今回参議院選挙では、小泉の後継者安倍晋三が歴史的大敗を喫する。
どちらが民意なのか?

安倍首相が、「自分の改革路線を否定されたわけではない」と開き直る気持ちも分らなくはない。
しかし、「小沢をとるのか、自分をとるのか?」と政権選択を問い掛け、負けてしまえば「今回の結果の責任はすべて自分にある」と言いながらも、中川幹事長の辞任のトカゲのしっぽ切りで事を済ますと、かえって深手を負ってしまう。
安倍首相の政治スタンスは、間違いなく旗幟鮮明であり、支持者も多い。
安倍首相が、「美しい国造りを国民が理解しなかったから」と、潔く辞職すれば、国民の側も失ったものの重要さを再認識する可能性も高いと思うのだが。