あの人気者だった渡辺美智雄副総理、「ミッチー」の御曹司で二世代議士。
安倍前首相に、その突破力を期待され行政改革大臣に抜擢された渡辺善美。
独立行政法人改革、いわゆる公務員の天下り問題の解決に取り組んだが、福田政権下では孤立無援のまま、12月21日に全く不本意な決着を見てしまった。
この間、テレビに出まくり、それこそ形振り構わず改革の重要性を訴えていたが、町村官房長官からはしごを外され、肝心の福田首相からも突き放され、あらゆる閣僚から足を引っ張られ、さぞや無念の思いが強いだろう。
官僚を敵に回して独立法人を整理する為には、時の首相の強力な支援が必要にも拘わらず、福田首相は、まるですっかり官僚側のサポーターとなっていた。
前の小泉純一郎、安倍晋三に比べ、極端に首相のキャラクターが違ってしまったのに、横滑りで大臣に残ったのが運のつき。
まるで、晒し者のピエロ役を演じる結果となった。
「父親のミッチーはもっと根回しがうまかった」とか、「一人ではしゃぎ過ぎ」とか、渡辺行革相の手法への批判は多い。
しかし、所詮は福田政権ではお邪魔虫大臣。
安倍晋三のような「官僚を敵に回しても行政改革」を主張する総理大臣がいなければ、所詮は張り子の虎でしかなかった。
あまりの孤立無援ぶりに、マスコミからは渡辺善美への同情の声が強かった。
しかし、結果は官僚側の完全勝利。
大半の天下り先は温存された事になる。
「哀れ、渡辺善美」の感が強い。
しかし考えて見れば、渡辺は期せずして、福田首相、町村官房長官、若林農水相、公明党の冬柴国土交通相等、渡辺の敵役になった政治家達の正体を暴いた事になる。
官僚達の天下り特権には、厳しい世論の批判が続いている。
今回の顛末劇は、渡辺には苦く歯がゆいものだったのだろうが、まだまだ先は長い。
二世政治家達の中では、頭抜けて勉強家と言われる渡辺善美の捲土重来を期待したい。