昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

日頃の思いや鬱憤を吐露!無礼千万なコメントは削除。

ホンネを語れば

ずいぶんと昔になるが、ある先輩の話。
年度末会議で、時の営業担当重役が、「今日は今年度最後の会議なので無礼講だ!皆、本音を披露してほしい」と切り出した。

そこで我が先輩、スックと立ち上がるや、重役の営業政策を激烈な調子で批判した。
曰く、「現在のこの営業の体たらくを招いた責任はだれにあるのか?わが社のシェアは低下の一途、収益も不十分。これは全て業界協調を優先した営業政策のミスだ~ッ!」
一瞬座が凍りついた。

コンプライアンス全盛の今では信じられないが、当時は業界協調の談合時代。
ライバル会社が一堂に会して、販売価格を相談していても、誰も疑問に思わなかった時代だ。
先発会社は、自分の顧客を後発会社に譲り渡し、後発はその御礼に先発の言う事を聞く。
なんとも牧歌的な秩序が出来ていたが、当然ながら先発会社の営業担当には不満が鬱積する。
必死になって信頼関係を築いた顧客を、会社都合で他社に譲るのだからアタマにきてしまう。

その気持ちが臨界点に達していたのだろう。
我が先輩は、時の権力者から「ホンネで!」と誘い水をかけられて先の大批判を展開しでかした。
結果は火を見るよりも明らか。
哀れ、次の人事異動で閑職へ回されることになってしまった。

この時社内で囁かれたのが、「無礼講、ホンネで喋るなんて、サラリーマン社会ではありえない」とのビジネス真理だった。
会社のエライさん達は、一見自分への批判を容認するような豪放さを装うが、実際は全部ウソ。
お追従が大好きなだけで、一切の批判を許さない。

この時も、「シェア意識なんて過去の遺物だ!そんな考えしか出来ない奴には現場は任されん」と、苦々しく吐き捨てたものだ。

我らサラリーマンは、酒を飲んだ時に思い切って憂さを晴らす。
悲憤慷慨!
「あんな茶坊主ばかりじゃ会社は潰れる!」と危機感を露わに上役を批判する。
口角泡を飛ばして「もう革命しかない」ほどの思いつめた議論を戦わした翌日、批判の的だった上司に合うと、「お早うゴザイマ~ス!」と、明るく声高らかに挨拶する。

昨日の社内革命論は、単なる酒の勢い!
そうやって年をとってきた。