昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

日頃の思いや鬱憤を吐露!無礼千万なコメントは削除。

ノウハウブック経営の底の浅さ

昨年からの世界的大不況の中で、多くの会社が赤字に苦しんでいる。
今年は世界一の自動車メーカー、トヨタですら8千億円以上の赤字になるらしいので、後は推して知るべし。
更に深刻なのは、各会社ともこの不況からの脱出策が見えてこない事だ。
多くの会社とも何一つ具体的な対策が打ち出せず、ひたすら景気回復を待つだけ。
これで会社の経営者なんて、とてもじゃないがオコガマシイ。
ノウハウブックに載っていないような現象には打つ手なしの経営者がいかに多い事か!

元々、経営指南書なんて、実際には会社経営に無関係な学者が、「学術的にはこうすればうまく経営できるはず」との学説を羅列したものが大半だ。
また、たまに実際に成功した経営者がゴーストライターに書かせたものもあるが、大成功した会社ですら30年もたつと寿命がきてしまうほど変化の速い時代なので、本来なら単なる参考書でしかないはずだ。

ノウハウブックに書かれている事は、確かにプレゼンテーションには役に立つ。
問題の整理の仕方を懇切丁寧に教えてくれるからだ。
但し、ライバル会社も同じノウハウブックを読めば、当方のアドバンテージはなくなってしまう。
所詮はこんな程度の本でしかない。

僕の先輩の一人は、どっかで聞き込んだのだろう、「今からは個人のスキルではなく、売れる仕組みでの拡販を目指す」と、流行りの業務改革を提唱していた。
コンサルタントを雇い、ちょっと気の利いた若手社員を集め、二泊三日の合宿まで企画していた。

僕は「売れる仕組みなんて絶対にあり得ない」と白眼視していたので、先輩からは評判が悪かった。
しかしもしも万一売れる仕組みが発見されたら、特許でも取れない限りすぐにライバルに真似されてしまう。
所詮はノウハウブックを読んだ程度のスキルで他人に差をつけても、すぐに元の黙阿弥。
結局のところ、差をつける為には魅力的な個性しかない。
世の中には、無学でノウハウブックなど読んだ事はないが、自分だけの感性で会社を隆盛に導いた創業者がたくさんいる。
そんな人の一言の方がより実践的だし、何よりも会社の全てを一身に背負っている責任の大きささがあり、自ずと発言に迫力も加わる。

若手担当者がノウハウブックを読んで、ちょっと気の利いた台詞を吐こうと努力するのは可愛いとも思えるが、経営トップ連中ですらGEのジャック・ウェルチやフィリップ・コトラーに経営指南を頼っているようでは、全く持って情けない。
こんな典型的なサラリーマン経営者に、不況に打ち勝つリーダーシップなど期待できないのは当たり前だろう。