昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

日頃の思いや鬱憤を吐露!無礼千万なコメントは削除。

クレームをつける人

メーカーをやっていると、妙なクレームをつけて来るヤツがいる。
商品の包装に「何かお気づきの点があれば」とフリーダイヤル番号を掲載していると、猫に鰹節状態で、誠にくだらないクレームをつけられる。
「部品が外れた」なんて、普通には起きえないような物でも、馬鹿力で扱われると当たり前にそうなる。
しかし会社の専門家は抗議の電話があると、「左様でございますか、それは気がつきませんでした。至らない点をお詫びいたします」と、慇懃に対応している。
その昔訴訟社会のアメリカでは、猫を電子レンジで温めた人が、説明書の禁止条項に書いてなかった事を理由に訴えて勝った事がある。
「そんな馬鹿な」と思うが、製造者責任を避ける為には常識的ではない顧客への用心も怠れない。

と、当方全く訴えられる側の立場で考えていたが、今回は訴える側を経験する事になった。

いつも世話になっている姉に、ちょっと高級なお菓子をお歳暮として贈った。
その姉から「実は一缶36枚入っているはずなのに、数えたら35枚しかない」と電話があった。
「一区画4枚入りで9区画のはずだが、一か所だけ3枚しかない」らしい。
超高価な物でもないので、我が姉ながらよくも数えたものだと感心した。
姉は、メーカーに対して「クレームの電話をしたい」と言う。
姉は「缶も包装紙も高級品を使っている老舗和菓子メーカーとしては考えられないミスなので、再発防止の為には連絡するのが親切だ」と主張する。
どうでもいいのだが、それで姉の気が済むのならと了解した。

翌日、件のメーカーから我が家にもお詫びの電話があった。
「この度は大変なご迷惑をおかけして誠に申し訳ありません。問題の製品を回収、ただちに代替品を送ります。」と平謝り。
当方、高がお菓子一枚なのでかえって恐縮してしまう。
結果的には、姉の方に問題商品回収の為の包装紙と代替品を送付、送り主を我が家にもお詫びのお菓子を送ってきて一件落着となった。

メーカー側は、たった一枚の充填ミスでエライ大損になってしまったものだ。
クレームをつけた姉も予想外の展開に大いに驚いていたが、こんな事になると、些細な事でも文句を言う輩が後を絶たないなとも思う。
万全な品質を標榜するのもいいが、余りの過剰反応も考え物だ。
「ごめんなさい」程度で済ますのが普通ではとも思うが、これが老舗の誇りなのだろうか。