TOSHI氏（変な言い方だが）が、自己啓発グループ「ホームオブハート（HOH）」を脱退すると発表した。
数年前、彼がX JAPANを脱退、いかがわしげなこの団体に取込まれているとのテレビ報道を見たが、夫婦揃って出演した彼は、自分が如何にこの団体によって救われたかを力説、代表のMASAYA氏を「マチャマチャ」と呼び、心から信頼し崇拝していると喋っていた。
しかし現実は、この間の全ての稼ぎと嫁さんまで召し上げられたようだ。
衷心から「お気の毒に」と思いたいが、一方では彼にはHOHの広告塔として、彼同様の被害者を作り出した責任がある。
TOSHI氏は、決して単なる被害者ではない。
更に分からないのは、「僕の金を返して」なる発言だ。
カルト宗教に関わり、後で自分が騙されていると思い直した時、大半の人はこの台詞を口にする。
「汗水たらして稼いだ金を騙し取られた」との主張だ。
是はおかしい。
その人達は自分の金を強引な手段で奪い取られたわけではない。
むしろその時は、自ら進んで稼ぎを差し出したはずだ。
宗教的には寄進とかお布施とか寄付とか言っているようだが、これは悩み多き人が己の信じる神様や団体に対して、自分の財産を差し出す事で救われると思っているからこそ成立する、一種の取引だ。
賽銭箱を前にすると、我々はささやかな希望を叶えて貰いたいと願って小銭を投入する。
自分の心が洗われる甚だ自己満足な行為なのだが、後になって「まるで効果がなかった」と文句を言う事もない。
TOSHI氏が騙されたと主張しているものは、金額こそ大きいが本質的には賽銭と同じで、寄進した瞬間には心が救われていたはずだ。
だから後になって、差し出した財産が惜しくなって「返せ！」というのは筋違いだと思う。
差し出された側は、既に寄進に見合う功徳を施したのだから、「今更返せったってアカンベェ！」になるだろう。
要は、騙された方が馬鹿だったと諦めるしかない。
後で冷静になれば、何であんな大金を差し出したのかと思うだろうが、それがカルト宗教の恐ろしいところ。
彼らは、人間の弱さや不安さを研究し尽くしたマインドコントロールのプロ集団なのだから、善人なんぞ赤子の手を捻るように騙してしまう。
残念ながら、少々高価だったが今後は絶対に騙されない為の授業料と思わざるを得ないものだ。
ましてやTOSHI氏は、彼自身が「騙された」と言っているHOHが、善良な市民を更に騙すお手伝いまでしていた人だ。
今更、「自分は被害者」として振舞うのは。都合が良すぎる。
TOSHI氏は自己破産になってしまったようだが、仲間の支えや今後のツァー活動で生活に困る事はないだろう。
しかし彼の所為で、同じように全財産をHOHにとられてしまい、まったく生活の目処すら立たない人もいるかもしれない。
HOHがTOSHI氏を騙したと言うのなら、結果として自分がそのHOHのお先棒を担いだ事を被害者に真摯に謝罪するのが先ですよ。
マァ遅まきながらも、真人間に戻れてよかったと思う事です。
