昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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プライベートと仕事の境目

森村誠一なる小説家がいる。
ホテルニューオータニのサラリーマンだったが、一念発起、自分の職場を舞台にした「高層の死角」で、江戸川乱歩賞を獲得、作家デビューを果たした。

その森村誠一が作り出した言葉に「社畜」がある。
サラリーマンを会社に飼われた家畜に見立てたものだが、本人は結構気に入っていたようで、様々な作品でこの言葉を使っている。
僕は、もう少しの間は現役サラリーマンだが、自分がそれほど会社に束縛されていたとの自覚はない。
決して、仕事が楽しくて仕方がないほど恵まれてはいなかったが、出社の時溜息をつくほど嫌でもなかった。
一般的サラリーマンにとって、とりわけ月曜日は「ブルーマンディ」と称されるほど気が重いものらしいが、そんなデリカシーを感じた事はない。
だから、森村誠一に「サラリーマンは社畜だ」なんて言われても、まるでピンとこない。

多くの人が、ネクタイを着用すると一気にストレスが高まると言う。
「犬の首輪と同じだ」と自嘲する人もいる。
僕の場合は、ネクタイはブランドに凝っていたので、それを身に着けるのは結構楽しくて、憂鬱だと思った事もない。
むしろ、プライベートな生活からサラリーマンに変身する瞬間は、髭を剃る事だった。
特に冬の寒い日に、水で顔を洗った後に髭を剃るのは辛い。
だからゴルフに行かない休みの日は、いつも無精髭を生やしている。

今にして思えば、サラリーマンになる前に、一度は髭を蓄えたかった。
髭は男臭さが醸し出されるし、強そうにも見える。
しかし無精髭はともかく、チャンと髭を伸ばそうとすると手入れが大変らしい。
それでも、若かりし頃に髭を生やしていれば、アラブ人程は彫りが深くない典型的な日本人顔の当方でも、さぞや似合ったのでは思われ残念でならない。

「では、退職後に」と言われると、既にすっかり白髪混じり、と言うよりも白髪がメインとなっているので、下手に髭を伸ばすと猛烈な老け顔になるだろう。
実は髪の毛も髭もそうだが、白くなってしまうと、実際よりも10歳以上年寄りに見える。
バリバリの老人だから、そう見られても当たり前なのだが、不思議なもので少しでも若く見られたい欲求は、年をとるほどに強くなる。

そんなわけで、現在のところ髭面の勇姿は、夢のまた夢。
休日は無精髭、平日は髭を当たった後のショボ顔で会社に出向く日が続く。