国家指導者としての資質を問われる非常事態の中で、首相菅直人が見事にその能力のなさを露呈している。
政治資金規正法違反で、本来なら今頃はアガリの政治家のはずなのに、悪運が強いと言うか、未曾有の大震災の所為で、国会での追求劇がストップ。
未だに、日本国総理大臣として居座っている。
大震災、津波、そして福島原発問題。
日本史上最悪の災厄が一挙に襲い掛かったので、この問題解決が喫緊の課題である事は間違いない。
しかし野党にとって、政権与党の問題点を追及する通常の政治活動が「政局」と称せられ、全てが「撃ち方止め！」となるのはどうにも合点がいかない。
震災復興や福島原発解決に対しては、与野党を問わず個別党派毎の主張に違いがあるはずはない。
誰もが、一日も早い正常化を望んでいる。
しかし、そのアプローチの方法や将来像は、当然のように党派毎に差があってしかるべきだ。
たとえば復興資金について、自民党、公明党は民主党のバラ撒き政策を全て棚上げして、復興資金に回すべきと主張している。
民主党は、全面見直しなのかははっきりしていない。
何より、菅直人への信頼感では、与野党間では決定的、致命的な差がある。
これを全て棚上げして、復興最優先にしたところで、政治がうまく回るはずがない。
だから野党自民党は、「我々に任せてくれたら、この問題はこのように解決する」と、具体的な施策を訴え、再度の政権交代を目指すべきなのだ。
それなのに、谷垣総裁は民主党からの大連立の誘い水に、腰が浮いてしまう。
菅直人交代の必要性を最も強く主張していたはずなのに、「今はそんな場合ではない」と世論が大連立支持と報道されると途端に阿り、自民党の元総理経験者達の意見を聞いて回ったりする。
ある人からは「是非とも大連立を」とアドバイスされると、「そうですね」とその気になり、別の人から反対されると、「私は一度も大連立なんて言っていない」と否定的な意見に変わる。
頼りない事、この上ない。
菅直人に代わる最有力総理大臣候補がこれでは、自民党が政権に返り咲いた後も強いリーダーシップは期待できないだろう。
そもそも自民党内で、声高に大連立を主張しているのが、旧態依然とした政治家、古賀誠と聞いてその魂胆とお里が知れる。http://blogs.yahoo.co.jp/saraam_s/40360763.html
彼は道路族議員の親玉で、選挙区に利益誘導することで当選回数を重ねてきた。
今回もまた、復興資金を民主党に独り占めされるのが嫌で、大連立での政権復帰と利権を狙っているに違いない。
被災地復興を口にはしているが、実は利権の臭いに群がる、その程度の政治家だ。
菅直人からの大連立への誘い水も、一皮めくれば自分の政権延命と、自民党への責任押し付けでしかない事は明々白々だ。
そんな底の浅い誘惑など歯牙にもかけず、自民党政策の優れている部分と、人材の豊富さを正々堂々と訴え、民主党に変わって復興の中心になるのは自分達だとアピールしなければならないのに、この数日間のフラツキ加減を見ると、谷垣総裁もまた日本国の運営を委ねるに足る政治家には程遠いような気がする。
