昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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高校野球の女子高マネージャーがドラッガーを

正式な書名は「もし高校野球の女子マネージャーがドラッガーのマネジメントを読んだら」と、大変長ったらしい。
経営学オーソリティ、ピーター・F・ドラッガー経営学の入門書。
現在、大ベストセラーで、映画にもなる。
これまた人気大爆発中の、AKB48の前田敦子が主役だ。
(余談で全くどうでもいい事だが、このオネーチャン、現在人気投票中のAKBでトップ候補の一人らしいが、残念ながら匂うような色気のある女性に憧れる当方の好みからは大きく外れている。)

ストーリーは、偶然読んだドラッガー経営学指南書を、高校野球に展開。
県立進学校の野球部女子マネージャーが、駄目チームを甲子園に出場させるまでの、涙、涙の感度巨編。
ドラッガーを読めば、企業だけでなく、あらゆる分野で成功間違いなし!
の、教則本なのです。
当方、ドラッガーとか、フィリップ・コトラーとか、いわゆるマネジメント本はあまり好きではないが、その昔、会社から支給されたものを読んだ事がある。

感想は、
・なるほど、仕事のプレゼンテーションには大変役に立つ!
・なるほど、説明の順序とか、切り口は大いに参考になる!
実は仕事をする上では当たり前の常識みたいに思っている事でも、彼らの指南書に沿ってまとめると、何となく様になって聞こえるから不思議だ。
外国、とりわけアメリカ人は、この手の研究が得意で、小さい頃からプレゼンテーションの真似事をやらされているらしい。
勢い、場慣れしている上に、諸先輩の学者達のマネジメント読本に触れる機会も多いので、かなりの論客が育ってくる。
能書きがうまく、説明に迫力があると、何となくうまくいきそうな気分になる。
ドラッガー経営学も、いわば当たり前の事を小難しく理論化したものなので、この本のようにビジネス以外への応用も可能かと思わせる。
その点では、野球を取り上げたこの著者の目の付け所はなかなかに鋭い。

しかし臍曲がりの当方、こんなノウハウブックで甲子園に行けるのなら、野球なんてお茶の子さいさいのお遊びだと言いたくなる。
高校野球で名を上げようと目論む学校は、全国から超高給で指導者を雇い入れ、超優秀な野球部員を青田買いし、血のにじむ練習を繰り返しているが、それでもなかなか甲子園出場は適わないものだ。
プロ野球も一緒。
ドラッガーを読めば野球に勝てるのなら、目の玉が飛び出すような給料を払って天才野球選手を集めている球団経営なんて、馬鹿馬鹿しくてやっていられなくなる。
やはり野球に勝つ為には、一に投手、二に監督、三に四番バッターを揃える事が必須であり、理屈を極めれば勝てるほど甘いスポーツではない。

何よりも、百歩譲ってドラッガーの理屈が高校野球部員に、飛躍的、画期的な技術改善を実現させたとして、相手が同じ本を読んだら、一体どちらが勝つのだろうか?
これは野球だけで話ではない。
我々の仕事も一緒で、「儲かる仕組みづくり」が追求された時期がある。
・個人プレイでの仕事には限界がある。
・今後はコトラードラッガーの本を読み、仕組みで売れる、仕組みで儲かる事を追求するべき!
と、ノウハウブックの効用が大いに持て囃された時期があった。
このときも、臍曲がりの当方、「そんな仕組みはない!万一、それがあったとしたら誰もがすぐに真似をする。そうしたら、最後は現場力、人間力の勝負になる」と主張した。
コトラー教祖、ドラッガー大先生にかぶれたマネジメント教育の先生方からは、白い目で見られる結果となったが、そもそも精々数千円の本を読めば世の中をうまく渡れるなんて、虫が良すぎるだろう。

今回の映画は、観客は結構評判で、中には涙まで流す奇特な人もいるらしいが、そんなもの森田健作の「これが青春だ!」と一緒。
後で振り返れば、あんな薄っぺらい映画に感激した事を恥ずかしく思う日がくるだろうヨ。