昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

日頃の思いや鬱憤を吐露!無礼千万なコメントは削除。

自分しか出来ない仕事

僕は社内外を問わず、先輩諸氏に恵まれている。
あらゆる局面で、有言無言の教育を受け、その全てが僕の人格形成に役立った。
勝手にそう思い込んでいるし、大変感謝している。
今や、それを後輩連中にお返しするような年齢に達しているが、果たして先輩達のような事が出来るのか自信はない。

今日は、我が社の出店がある田舎町まで出張した。
昼間の仕事は、精々二時間もあれば終わる。
後は全員で会食となった。
和気藹々、楽しい食事なら問題はないのだが、どういう訳か女性陣の機嫌が悪い。
地方の責任者に対して、「自分達への心配りがない」とカランでいる。
酒の勢いもあるのか、「せめて何かプレゼントでもあれば、仕事上の不満も我慢できるのに」と、結構厚かましい。

最初は適当にチャチャを入れながら聞いていたが、どうやら冗談は半分以下、かなり本気モードのようだ。
であれば、言うべき事は言わなければならない。

・貴方方は会社との契約社員であり、労働の代償として会社から給料が支払われている。
・職場の責任者は、管理責任はあるものの、貴方達に何かオブリゲーションがあるわけではない。
・貴方達の歓心を買おうと、特別な配慮をすればそれが職場の常識となるおそれがある。
・そうなると、それを出来る人と出来ない人が出てくる。
・サラリーマンの仕事は、常に継続を前提としている。
・だから、自分しか出来ないような仕事、後任が出来ないような仕事のやり方をやってはいけない。
・特定の人に特別な配慮をする事は、痛くもない腹を探られるものだ。

酒の席だが、いささか説教調となってしまった。
実はこれは先輩の受け売り。
ある担当者が、重要顧客の資材部長に気に入られようと、日曜日ごとに庭の草むしりサービスに赴いていたらしい。
若い担当者は、如何に自分が滅私奉公の努力をしているかを自慢したかったようだが、その時に落とした先輩のカミナリが、「自分しか出来ないような仕事はするな!」の一言だった。
「君は独身だから日曜日にゴマスリの仕事が出来るかもしれないが、君の後任が同じ事を出来なかったら、その客をつなぎとめる事が出来なくなる。そんな特殊な手段でつかまえた顧客は我が社の安定取引先にはならない。」

これは職場でも一緒だ。
職場の和を保つ為に必要以上の手段を講じると、それが当たり前になってしまう。
懇親の為に皆で息抜きする事までうるさく言う必要はないが、個人が犠牲になる格別な配慮など無用だ。
たかが会社員だが、職場ではお互いがプロとして仕事をしている。
女性陣の歓心を買う為に、何かプレゼントをするなど持っての外!
昨今のコンプライアンス全盛時代には、余計なお世話は危険なのだ。

彼らが果たして、こんな硬い意見を理解してくれたのかは不明だが、殊勝な顔をして聞いていた。