昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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「政争に明け暮れている暇はありません」ってもネ

「経営者通信」なる雑誌がある。
全国44千人の経営者に「無料」で送っているらしい。
何が目的なのか、どういう経緯で当社宛に送られるようになったのかが今一つはっきりしないが、基本的にタダに弱いので、有難く頂戴して、斜め読みをしている。
10月号の「巻頭インタビュー」は、かの有名なる出井伸之氏。
世界的大企業(だった)ソニーの社長、会長兼CEOを10年以上勤めた凄腕経営者(らしい)。
「崖っぷち日本を救うのは経営者だ」の中で、「日本の企業には大転換が必要」と力説している。
・これまでの常識をゼロに戻すべき
・100年後を見据えた復興を
・マーケットはアジア全体
ベンチャーが育つ仕組みを創りたい
・経営者はプールに飛び込め
・日本の未来は経営者の手にかかっている
と、いずれも御説御尤も。
目から鱗が落ちるような、素晴らしい御託宣で…………

等と、感激するような代物からは程遠い。

出井伸之ほどの知名度がないので誰も注目しないが、そんな程度の抽象論なら誰でも考え付く。
卑しくもサラリーマンを職業とする人間で、現状に不満と不安を持っていない人間などは、ほとんどいない。
毎日毎日、どうしたら生き残る事が出来るか、事業継続の為に必死に無い知恵を絞っている。
しかし、そう簡単にはその解が見つからない。
だからこそ、困っているのだ。

「常識をゼロに?」
・そんな程度で、今の苦境を乗り切れるのか!
「100年後を見据えた?」
・そんな先まで見る余裕がないワイ!
「当然ながら経営者はリスクを見極めながらリスクをとらなければなりません。最近の若い人を見ると、プールに飛び込まずプールサイドで評論している人が多いような気がします。それではダメですね」?
・アンタの言い草も、プールサイドの評論に見えますが…….

中でも訳が分からないのが、「政治については政争に明け暮れている暇はありません」なる決まり文句だ。
そもそも政治家とは、政争に明け暮れる連中であり、「そんな暇がない」と言うのなら、彼らは政治家である必要がない。
被害者救済の為に、全ての政治家が一斉に同じ事を言い、同じ行動に走るのが理想の政治を思っているのかもしれないが、復興への関わり方も、復興後のイメージもまるで違う政党が、そんな見かけだけは挙国一致をうたっても、長続きするものではない。

ついでながら、街頭インタビューでも必ず「政治家は自分の選挙のことしか考えていない。もっと被災者の事を優先するべきだ」との非難があがる。
しかし、政治家にとっては自分の政治信念を貫き通す為には、選挙に勝つしかない。
当然ながら、政治家にとっては選挙が最優先される。
自分の地元は無視してでも、被災地の為に身を粉にして働く政治家がいるとしたら、その志は素晴らしいが、次の選挙で当選しない限り、単なるボランティアの一人でしかなくなる。

民主主義国家では、与野党が拮抗している。
ならば政治が何をやっても、半分の人しか満足できず、残りの半分は不満を持つ。
それが民主主義の健全な姿なので、政治が我々に対して万能薬の施策をやってくれると期待する方がおかしい。