昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

日頃の思いや鬱憤を吐露!無礼千万なコメントは削除。

「国民の声」って信用できるのか?!

好き嫌いで、人間の判断基準が変わる。
自分が嫌いな人物は、「あいつはワル」と決めつけ、好きな人は「あの人は素晴らしい」と絶賛する。
我々レベルの生活では、好き嫌いで人を判断しても一向に構わない。
しかし政治家は違う。
国民に人気を博した政治家ほど、国家的見地からは何一つ成果を上げていないケースが大半。
一方、在任中蛇蝎の如く嫌われた政治家ほど、後になって振り返ると赫々たる実績を残しているものだ。
吉田茂岸信介池田勇人佐藤栄作がこの代表で、消費税導入を置き土産に首相の座を引いた竹下登も、中曽根康弘などは、不人気首相組。

政権交代を果たした民主党の歴代首相の小物振りは、目を覆いたくなるほど悲惨だ。
もとより政権担当能力もないまま、一種の上げ底ブームに乗り政権の座に着いたものだから、野党としての修行は出来ていても、与党としては全く頼りない。
鳩山由紀夫菅直人と続いた民主党首相は、史上最低の首相として歴史に名を残す事間違いない。
野田佳彦になって、少しはまともな議論が出来るかと期待するが、頼りなさは抜けきれない。
そんな民主党政治家の中で、毀誉褒貶が最も激しいが、唯一政権担当能力を有する政治家は、間違いなく小沢一郎だろう。
もとより人相風体に健やかさがない所為か、極力、表で目立つのを嫌い、最低の説明責任しか果たさない。
些か、中日ドラゴンズ落合監督を髣髴とさせる。
とにかく賛否両論、いつも「小沢対反小沢」で政治が回っている程の実力がありながら、歴代の不人気政治家に匹敵する程評判が悪い。

その小沢は今、「政治とカネ」問題で、予想に反して秘書三人が有罪判決を受けピンチに陥っている。
検察審査会から強制起訴された、小沢本人の政治資金規正法違反罪裁判も始まった
尤も、地裁判決なので、当然控訴され、いずれの判決が出ても、最終的には最高裁まで争うだろうから、その間の政治活動には支障をきたす。
身から出た錆とはいえ、憂鬱なものだろう。

しかし今回の、秘書三人に対する地裁判決はひどい。
こんな判決が許されるのなら、証拠もヘッタクレもない。
裁判官の心象が全てになってしまう。
小沢憎しの世論に阿ねたのだろうが、まるで人民裁判で有罪を言い渡したのも一緒の、裁判史上稀な判決だろう。
総じて識者には評判の悪い判決だが、毎日新聞論説委員の解説も、開いた口が塞がらない。
彼は、「世間の常識を配慮した画期的な判決」と褒めちぎった。
小沢一郎のカネの流れについては、多くの国民が疑問に思っている。今や裁判員制度もそうだが、そんな国民の声を聞く時代になった」と続けた。
が、この「国民の声」とか「世間の常識」が一番怪しい。

一昔前になるが、松本サリン事件の時、国民の大半は「河野さんが犯人」と思い込んでいた。
しかし冷静に証拠固めをしていく上で、サリンは農薬を混ぜても絶対にできない事が分かり、オーム真理教の組織的犯行が明らかになったが、ある時期までは世間の常識は大間違いだった。
二年前の衆議院総選挙も似たようなものだ。
世間は圧倒的に民主党を支持したが、今や誰もが「間違いだったのでは」と疑問視している。
裁判所には、こんな付和雷同、軽挙妄動の世論から、一番離れた判断が要求されている。
それを、「証拠はないが、こうに違いない」と勝手に思い込まれると、世間の常識のもと、無数の冤罪が発生する。
嫌われ者、小沢一郎だからと言って、こんな判決が許されるはずがない。

今迄の冤罪事件だって、今でこそ無罪の傍証が判明しているが、事件当時は有罪が当たり前と見られていたものが大半だ。
裁判が世論に迎合する事は危険だ。